TOP ご利用事例 認知症による資産凍結を防ぐ「家族信託」を当たり前に──ファミトラが選んだFlex Capitalのベンチャーデット

認知症による資産凍結を防ぐ「家族信託」を当たり前に──ファミトラが選んだFlex Capitalのベンチャーデット

株式会社ファミトラ 様
シニア領域における社会課題にテクノロジーで向き合う株式会社ファミトラ。認知症の発症によって金融資産が凍結されてしまうリスクに着目し、その解決策として「家族信託」の普及を推進しています。
これまでエクイティを中心にシード期からシリーズBにかけて累計約24億円を調達してきたファミトラですが、直近は事業の黒字化が視野に入る中でデットファイナンスの活用を開始し、2026年初以降、Flex Capitalのベンチャーデットを含め、約3.5億円の資金調達を実現しました。
中でもスピーディーな審査プロセスで条件を提示したFlex Capitalは、他の金融機関との交渉における「呼び水」としての役割も果たしたといいます。
本記事では、代表取締役CEOの三橋克仁さんに、創業の背景からFlex Capital導入の決め手、そして今後の事業展望までを詳しく伺いました。

目次

認知症による資産凍結という社会課題に挑む──家族信託を「当たり前」にする挑戦

ーー ファミトラの事業内容を教えてください。

私たちは、シニア領域とITを掛け合わせた、いわゆるAgeTech(エイジテック)領域で事業を展開しています。特に着目しているのは、認知症の発症によって本人の金融資産が凍結されてしまうという課題です。

事業は、家族信託の組成までを支援する「家族信託組成サポートサービス」と、契約締結後も信託監督人として継続的に運営を支援する「信託監督人サービス」の2つで構成しています。契約締結時にいただく初期費用に加え、契約後も月額費用をいただく仕組みのため、一度ご契約いただくと長期にわたって収益が積み上がっていくストック型のビジネスモデルです。

また、大手企業との提携や出資も事業基盤を支えています。2026年3月には朝日生命の「みんなのあんしん100年プロジェクト」への参画を発表したほか、日本郵便や大和証券との業務提携など、複数の大手企業とパートナーシップを構築しています。加えて、全国の司法書士・弁護士とのネットワーク「チームファミトラ」を通じて、専門家が不足しがちな家族信託の実務をワンストップで支援する体制を整えています。

  • 三橋克仁(みはし かつひと)|株式会社ファミトラ 代表取締役CEO
  • 東京大学大学院工学系修士課程修了。2012年に株式会社manaboを創業し、オンデマンド個別指導アプリ「manabo」を自ら開発、ベネッセ・Z会など国内大手各社との業務資本提携を主導した後、2018年に駿台グループへ売却。2019年、AgeTech領域に着目し、信託DXで家族の資産課題を解決する株式会社ファミトラを創業。「家族信託を、あたりまえに。」を掲げ、普及に取り組んでいる。

ーー 創業のきっかけを教えてください。

シニア×IT、いわゆるAgeTech(エイジテック)と呼ばれる領域にフォーカスを定めた中で、特に大きな課題だと感じたのが認知症です。ただ、私は医療分野の出身ではないため、治療や薬といったアプローチは適切ではないと考え、他の解決策を探しました。

認知症になってしまうと、本人の金融資産がロックされてしまうリスクがあり、それが本人にとっても家族にとっても大きな影響をもたらします。そうした中で、家族信託というソリューションが非常に有効だと気づき、これを当たり前の選択肢として社会に浸透させる会社をつくろうと考えたのが、ファミトラ創業のきっかけです。

財務面については、私自身がシリアルアントレプレナーであったこともあり、創業当初から事業計画の策定や資本政策の設計、実際の調達活動まで基本的に自分で担ってきました。シリーズA以降、10億円を超える資金調達を行うようになってからは、専任でファイナンスを担う財務担当者を採用し、証券会社や監査法人とのやり取りを含めて体制を強化してきました。事業成長のフェーズに合わせて、財務チームと法人営業チームのバランスを見ながら、組織の構成を調整してきたという流れです。

エクイティ中心の成長から業績フェーズに連動した財務戦略の変遷

ーー 創業から現在までの資金調達戦略の変化について教えてください。

創業初期は完全に赤字を掘りながら事業を進めるモデルだったため、そもそもデットという選択肢を取ることができず、エクイティ調達を重ねるしかありませんでした。シードからシリーズA、シリーズBまで累計約24億円を調達してきましたが、直近でようやく黒字化が見えてきたことで、デットファイナンスを選択肢として検討できるようになりました。

事業のフェーズが変わってきたこのタイミングで、プロパーの銀行融資やベンチャーデットを積極的に活用するようになり、今年に入ってから合計で約3.5億円を調達しています。エクイティは調達コストの面で大きな負担が伴うため、加重平均資本コスト(WACC)という概念も踏まえながら、デットとのバランスを考えていくことが重要だと考えています。

検索で見つけた「代名詞的存在」──Flex Capitalを選んだ理由

ーー Flex Capitalを知ったきっかけを教えてください。

ベンチャーデットという言葉がスタートアップ業界で注目され始めた中で、検索をした際に上位に表示されたのがFlex Capitalでした。この分野における代名詞的なサービスとして受け入れられているのだと感じましたし、実績も十分にあったため、お声かけさせていただきました。

また、当社も「家族信託の代名詞」を目指して事業を進めている中で、Flex Capitalも同様のポジションを目指しているように感じ、シンパシーを覚えたことも大きな理由です。スタートアップとして事業フェーズが近いところにも、後押しされる要素がありました。

着金まで1ヶ月未満。スピードと低い説明コストが生んだ信頼

ーー 実際の利用プロセスについての評価を教えてください。

率直に、非常にスピーディーでした。Flex Capitalの場合、財務諸表を提出してから着金まで1ヶ月かからなかった。これは、私にとって初めての経験でした。

従来型の金融機関の場合、審査に2〜3ヶ月かかることも珍しくなく、時間だけでなく説明のためのコストも大きくかかります。Flex Capitalの場合は財務諸表を提出した後、1度の面談で完結したため、プロセスはスムーズで、時間的にも説明コストの面でも非常に効率的でした。リスク判定の仕組みがシステマティックに設計されている点も、私にとっては好みに合う形でした。

ーー 今後への要望があれば教えてください。

月次のデータ提出について、現状はフォームを通じてExcelファイルをアップロードする形になっていますが、API連携等を通じた情報連携がより自動化されるとありがたいと感じています。数ヶ月から1年程度で技術的には実現可能になると思いますので、今後の改善に期待しています。

また、ビジネス面では、今よりも一桁上のサイズ感の融資を扱えるようになることを期待しています。

「デットに寄せたいが、現実とのバランスも」──資本政策における独自の哲学

ーー エクイティとデットのバランスはどのように考えていますか。

金利がそれほど高くない前提であれば、できる限りデットに寄せていきたいという気持ちがあります。ただし、スタートアップのライフサイクルや財務諸表の状況を踏まえると、いきなり大きな金額をデットで調達できるわけではないため、理想と現実のバランスを取る必要があります。

加えて、当社の場合は事業会社からの出資を受けているという特徴もあります。これは事業成長のための事業提携を見据えた呼び水としての出資という側面が強く、単純なファイナンス活動として割り切れるものではありません。また、こちら側が求めるタイミングと、事業会社側が出資したいタイミングが一致するとも限らないため、この部分は数式化しづらい要素だと感じています。

ーー 市場環境について、どのように見ていますか。

一般論として、エクイティ、デットのいずれも、今後は厳しさが増していくと見ています。エクイティについては、CVC投資のリターンが十分に出ていないことが明らかになってきており、投資対象となる企業数が減少する一方で、上場維持基準の厳格化もあって一部の有望企業への資金集中が進んでいます。

デットについては、政策金利の上昇を背景に、金利水準が以前より高くなってきています。金利負担によって収益が圧迫されないよう、エクイティとデットのバランスを慎重に見極める必要があると考えています。

ーー 今回の資金調達は、その後の事業成長にどのような影響がありましたか。

今回Flex Capitalより融資いただいたという規模は、当社のエクイティやデット全体からするとそれほど大きな比率を占めるものではありませんが、他のプレーヤーよりも圧倒的に速い意思決定に対して、シンプルに「呼び水」としての効果を感じています。当社にとって借入の実績や期間の蓄積はまだ多くないため、今後、組成の区切りを迎えるタイミングで、同様の実績を重ねていけることに期待しています。

システムと人を組み合わせたモデルの横展開と、家族信託を「当たり前」にする長期ビジョン

ーー 今後の事業展望を教えてください。

システムと人を組み合わせたビジネスプロセスサービスの仕組みが軌道に乗り始めており、大手企業との提携を通じて実際の契約や事業も進み始めています。今後はこのモデルを、不動産、銀行、事業承継といった領域へ横展開していく計画です。すでに商品パッケージとしては複数の展開先が見えており、さまざまな業種の企業に提案を進めている段階です。特定の分野に収益が偏らないよう、複数の業種でバランスの取れた収益ポートフォリオを目指していきたいと考えています。

ーー 長期的なビジョンについて教えてください。

家族信託を「当たり前」の選択肢にすることが、創業当初からのビジョンです。遺言や任意後見といった他の制度と並んで、一般の方が家族信託を自然に検討の俎上に載せられる世界観を実現したいと考えています。そのためには、現状のマーケット規模を3〜4倍程度に拡大していく必要があると見ています。年間で数万世帯が当たり前に家族信託を相談し、その相談先として当社が選ばれている状態を早期に実現したいと考えています。

ーー 事業成長とファイナンス戦略の連動について、どのように考えていますか。

家族信託は相談期間が長期にわたり、収益が積み上がっていくストック型のモデルです。事業が安定的な成長軌道に乗れば、大規模な資金調達が必須というわけではありません。一方で、新しい商品やシステムへの先行投資が必要な局面では、リスクを取って資金を調達する場面も想定されます。

また、保険会社の構造に近い部分もあり、当社が長期にわたって安定的に存在し続けられるということ自体が、信託を任せていただくお客さまにとっての付加価値になると考えています。そのため、事業として抱える信託財産の規模に応じた財務的な余力を持てる状態を、長期的には目指していきたいと考えています。

ーー本日は貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。

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