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スタートアップの資金調達|方法や事業ステージ別に利用したい手段をまとめて紹介

目次

はじめに

  • 「スタートアップが活用できる資金調達には手法がどのようなものがあるのだろうか?」
  • 「事業のステージごとにどういった手法が取れるのだろうか?」

スタートアップを経営するにあたり、資金調達は常についてくる悩みです。特に、事業立ち上げや事業展開の初期段階では資金調達方法に悩む方も多いのではないでしょうか。

本記事では、スタートアップ企業が利用できる資金調達の方法や、事業ステージ別の活用方法を紹介します。
最後まで読めば、資金調達についての理解が深まり、どの方法を選べばよいのか判断もしやすくなるはずですので、ぜひご一読ください。

スタートアップの資金調達方法

スタートアップの資金調達の方法は、主に以下の3つがあります。

  • デットファイナンス
  • エクイティファイナンス
  • 補助金

各方法についてメリット・デメリットを解説します。

デットファイナンス

デットファイナンスとは、銀行融資や社債発行によって資金を調達する方法です。
デットファイナンスには、株式の発行は伴わないため経営権に対する影響がない点や、資本コスト(調達した資本に対して将来にわたって発生するコスト)が相対的に安い点などがメリットです。
一方、もちろん返済義務はあり、契約時に定めたスケジュールにて借りた資金(元本)と利息を支払うことが必要になります。

また、デットファイナンスの一種としてアセットファイナンスと呼ばれる融資手法を活用するスタートアップも存在します。
アセットファイナンスとは、企業や経営者が所持している資産を担保に資金化する方法です。
近年では、2024年に株式会社クラスがアセットファイナンスでの資金調達を行ったとの発表をしています。

一方、アセットファイナンスを行うにあたって十分なアセット(資産)を保有しているケースはスタートアップでは珍しいため、まずは自社のビジネスモデルや事業フェーズがアセットファイナンスにフィットするのか?を考える必要があります。

エクイティファイナンス

エクイティファイナンスとは、企業が新株を発行し投資家に引き受けてもらうことで資金を調達する調達方法です。

エクイティファイナンスは、返済義務・期限がない点、 自己資本が増加するため企業の財務面を強化できる点、融資よりも相対的に早いフェーズから活用できる点などがメリットです。

ただし、

  • 新株を発行することによって、外部株主の保有比率が高まる、株主の数が増える、などにより経営の自由度が下がること
  • 融資のように返済義務はないが、投資家が求めるリターンは高いという点でデットファイナンスより資本コストが高い調達方法であること

は認識しておく必要があります。

補助金

補助金とは、国や地方自治体が企業や個人事業主などに資金を提供する方法です。
返済義務がなく条件を満たせば補助金を受け取れます。

補助金は非常に魅力的である一方で、注意すべき点があります。
それはほとんどの補助金が後払いである点です。一般的な補助金は、申請して実際に支出した費用を、後から補填する仕組みであるものが多く、補助金を受け取るためにはまず支出をする必要があります。また、審査通過から補助までが短いもので半年から長いものだと2年以上かかるケースもあります。そのため「この補助金がいつ入金されるのか?」を把握し、必要によっては他の資金調達手法も組み合わせることが必要になってきます。

スタートアップの資金調達|デットファイナンス

デットファイナンスの代表的な方法は、主に以下の5つです。

  1. 公的融資
  2. 銀行融資
  3. 融資型クラウドファンディング
  4. ベンチャーデット
  5. RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)

メリット・デメリットにも触れていくので、ぜひ参考にしてみてください。

公的融資

日本政策金融公庫や商工組合中央金庫、日本政策投資銀行など政府が運営する金融機関からの融資を公的融資といいます。
他の融資に比べて、長期かつ低金利と良い条件で調達できるケースが多いのもメリットです。一方で申込から融資の実行まで期間が長くなる傾向にある点は認識しておかないといけません

公的融資の中でスタートアップが一番活用できるものが日本政策金融公庫が提供する「新創業融資制度」です。代表者保証不要、最大3,000万円、返済期間は運転資金の場合7年以内と民間の金融機関の調達よりも長期といったメリットがあります。また、公的融資は調達のリードタイムが長いと前述しましたが、新創業融資制度に関しては申込から融資実行まで1ヶ月で完了するケースもあり、スピード感を持って対応してくれる点もメリットです。

銀行融資

民間の金融機関から融資を受けることを、銀行融資と呼びます。

主な借入先は、以下のとおりです。

  • 都市銀行
  • 地方銀行
  • 信用金庫
  • 信用組合

銀行からの借入の場合はプロパー融資と信用保証付き融資に大別でき、スタートアップがより早い段階から活用できるのは信用保証付き融資です。

プロパー融資とは、信用保証協会の保証を受けない銀行からの融資のことを指します。信用保証付き融資と比べ保証料がかからない点がメリットです。一方、審査のハードルは高く、事業の実績が浅いスタートアップだと活用することが難しい点に注意する必要があります。

信用保証付き融資とは、中小企業者等の金融を円滑にするために設立された公的機関である、信用保証協会が融資の保証を行う融資のことを言います。
金融機関からの融資に加えて信用保証協会の審査が必要にはなりますが、保証がつくため、金融機関の融資ハードルがプロパー融資よりも低く、よりアーリーフェーズから活用できます。

融資型クラウドファンディング

融資型クラウドファンディングとは、インターネット上でマッチングした資金の借入を行いたい企業が投資家から融資を受ける手法のことを言います。ソーシャルレンディングとも呼ばれています。商品購入を伴うクラウドファンディングや、寄付型のものとは異なり、支援者に対して、元本に加え利息を支払う必要があります。
広く融資を募ることになるので、銀行融資よりも融資ハードルが低くなる傾向がある一方で、金利は他のデットファイナンス手法より高くなる傾向がある点に注意する必要があります。

ベンチャーデット

ベンチャーデットとは、一般的に株式を発行することで資金調達を行うエクイティ・ファイナンスと、銀行などの金融機関から融資を受けるデット・ファイナンスの両方の性質を併せ持つ金融商品の総称のことです。
国内では、スタートアップ企業向けのデット・ファイナンス、という広義の意味と、スタートアップ企業向けの新株予約権付き融資、という狭義の意味の2つの使い方がされています。

弊社の「Flex Capital」は新株予約権が付かない融資のみを取り扱っておりますが、金融機関が取り扱っているベンチャーデットの多くは新株予約権付き融資であるケースが多いように感じます。
実際に提案を受けた際は、新株予約権の有無を確認することを推奨します。

ベンチャーデットについての詳細な記事は以下にもまとまっています。

RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)

RBF(Revenue Based Finance)とは、は将来の売上高を予測し、予測された将来の売上高を現時点で現金化し、資金を調達する手段の一つです。
継続的に発生する売上の見込みがある企業が利用しやすい資金調達方法です。
RBFは通常のデットファイナンスである銀行融資やエクイティファイナンスとは特徴が全く異なるため、新しい資金調達の手段としても注目されています。
また、RBFは伝統的なデットファイナンス手法を利用しづらいスタートアップ企業で活用が広がっており、新たな成長企業を支える資金調達手段として拡大しています。
弁済に関してもファクタリングは一括弁済である一方、RBFは6〜12回の分割弁済となることが多く、資金繰りに効果を発揮する期間が長いことも特徴です。

Flex Capitalでは売上実績が半年以上あればRBFの審査が可能です。アーリーフェーズのスタートアップに新たな資金調達の選択肢を提供しています。

RBFについての詳細な記事は以下にもまとまっています。

スタートアップの資金調達|エクイティファイナンス

エクイティファイナンスは、資金の出し手の観点から、主に以下4つの種類に分けられます。

  1. ベンチャーキャピタル
  2. 事業会社(CVC含む)
  3. 個人投資家(エンジェル投資家)
  4. 株式投資型クラウドファンディング

それぞれの特徴について、順番にみていきましょう。

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルとは、投資家からお金を集めその資金を、高成長が見込まれるスタートアップ企業に対して出資する投資会社です。省略して「VC」と呼ばれています。

未上場のスタートアップに出資し、そのスタートアップがEXIT(上場やM&A)をする際に株式を売却することでリターンを得ています。
シードからプレIPOまで様々なステージを対象としたベンチャーキャピタルが存在しており、ベンチャーキャピタルごとの投資対象のフェーズを調べ自社の状況にあったベンチャーキャピタルにアプローチする必要があります。
シードラウンド〜アーリーフェーズを対象としたベンチャーキャピタルも多いため、サービスリリース前や事業としてのトラクションがまだ出ていないタイミングでの調達も可能です。

ファンドとしてのFinancialなリターンを求めるため、資本コスト(資金調達に伴い発生するコスト)はデットファイナンスよりも高くなる点も認識しておく必要があります。

事業会社

近年は事業会社もスタートアップ投資を拡大しています。「自社のみでの新規事業創出を目指す」というよりもスタートアップへの投資やアライアンス、M&Aを通じたイノベーションを志向する企業が増えています。そういった背景から事業会社のスタートアップ投資が加速しています。

キャピタルゲインを志向する純投資よりも、自社とのシナジーを目的とする戦略的な投資に重きをおく傾向にあるのも事業会社のスタートアップ投資の特徴です。

事業会社がスタートアップに投資する場合、自己勘定(事業会社から直接)での投資と、事業会社が運営するCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を通じた投資の2パターンが存在します。

個人投資家(エンジェル投資家)

シードフェーズの企業に対しても出資するケースが多く、また出資の意思決定が早い点が特徴です。
上場企業の創業者や主要メンバーなど、事業経験やコネクションを保有している人がエンジェル投資をしていることも多く、経営に関するアドバイスを受けられる点や顧客・投資家紹介をしてもらえるケースが多いのもメリットです。

一方で、早い段階から大きく持分を渡しすぎていないかに関しては注意が必要です。
またエンジェル投資家のみで調達を複数回進めた際に、ベンチャーキャピタルや事業会社と目線が揃わないバリュエーションになってしまうケースも目にすることが増えています。「自社にとって適切なバリュエーションとは?」を常に意識することが必要であると言えます。

株式投資型クラウドファンディング

株式投資型クラウドファンディングは、インターネット上で複数の投資家から資金を集める方法です。一般的なクラウドファンディングとは異なり、出資者は企業の株主になるのが特徴です。

メリットとしては投資家を幅広く募集できる点です。
一方、デメリットとしては、株主の数が増加してしまうので管理が大変になる点などが挙げられます。今後の資本政策を考えた上で実施する必要があります。

スタートアップの事業ステージと利用すべき調達方法

一括りに「スタートアップ」といっても、設立直後の会社から、上場直前の会社まで幅広い事業ステージがあります。ここでは、「それぞれの事業ステージごとにどういった資金調達方法が検討できうるのか?」に関して説明します。

シードステージ(シードラウンド)

事業開発に向け、アイデアの仮説検証や準備、プロダクト開発を行っている段階です。
この段階ではほとんどの企業が売上はまだ立っていない状態です。
エクイティ調達に関しては、シードフェーズ特化のベンチャーキャピタルにあたると良いでしょう。また、この段階で有力なエンジェル投資家からの出資を受けると、事業の壁打ち、顧客・投資家紹介など非財務面でも良い影響があることも多いです。
また、起業直後だからこそ受けられる支援である創業融資や起業支援の補助金などは積極的に活用を検討すると良いでしょう。
また、RBFも売上が発生し始めてから早い段階で利用可能な調達手法ですので、早い段階からの検討をおすすめします。弊社が運営するFlex Capitalでは半年間の売上実績があれば審査可能です。

このステージで利用を検討したい方法は、以下のとおりです。

  • デットファイナンス
    • 公的融資
      • 創業融資
    • RBF
  • エクイティファイナンス(J-KISS含む)
    • エンジェル投資家
    • ベンチャーキャピタル
  • 補助金

アーリーステージ(プレシリーズA~シリーズAラウンド)

プロダクトをユーザーに提供し、サービス改善を重ねながら、検証を重ね、PMF(プロダクトマーケットフィット)を目指す段階です。
プロダクトを市場投入しているので、シードラウンドとは違い売上は発生している状態です。一方で必要となる資金も多いため資金調達は非常に重要になってきます。
銀行融資に関しても、信用保証付融資であれば十分選択肢に入ってくる段階です。今後の調達も見据え早めに銀行とコミュニケーションを取っておくと良いでしょう。
また、シリーズAラウンドでも、企業と金融機関によってはベンチャーデットも選択肢に入ってくることがあります。あわせて検討することをお勧めします。
弊社が運営するFlex CapitalではシリーズA前後の企業に対してのベンチャーデットでの支援実績もございます。

このステージで利用を検討したい方法は、以下のとおりです。

  • デットファイナンス
    • 銀行融資
      • 信用保証付融資
    • ベンチャーデット
  • エクイティファイナンス
    • ベンチャーキャピタル
    • 事業会社
    • エンジェル投資家
  • アセットファイナンス
    • RBF

ミドルステージ以降(シリーズBラウンド以降)

事業のPMFが見えてきており拡大を目指す段階です。一定の収益のコントロールはできる状態であるものの、事業の規模拡大を目指すため先行投資を続ける企業も多く、引き続き資金ニーズが発生している企業がほとんどです。
事業の過去実績も積み重なり、成長の鍵となる指標もより明らかになってくるフェーズなため、デットファイナンスの選択肢が増えるフェーズです。銀行からプロパー融資で調達できる企業が現れ始め、ベンチャーデットを相談できる金融機関が増える段階です。
一方、ミドルステージ以降を投資対象としているベンチャーキャピタルの数は一気に少なくなることに注意する必要があります。状況に合わせて、事業会社からの資金調達も検討しておくことが必要になります。

このステージで利用を検討したい方法は、以下のとおりです。

  • デットファイナンス
    • 銀行融資
      • プロパー融資
    • ベンチャーデット
  • エクイティファイナンス
    • ベンチャーキャピタル
    • 事業会社

Fivot「Flex Capital」はスタートアップ企業様向けの新たなデットファイナンスを提供します

本記事では、スタートアップの資金調達について、方法やラウンド別に利用したい手段などを紹介しました。
改めて、以下に本記事のポイントをまとめます。

  1. スタートアップの資金調達の方法は、「デットファイナンス」「エクイティファイナンス」「補助金」の3つにわけられる。
  2. スタートアップのデットファイナンスでは、「公的融資」「銀行融資」「融資型クラウドファンディング」「ベンチャーデット」「RBF」が挙げられる。
  3. スタートアップのエクイティファイナンスでは、「ベンチャーキャピタル」「事業会社(CVC含む)」「個人投資家(エンジェル投資家)」「株式投資型クラウドファンディング」が挙げられる。
  4. それぞれの方法にメリット・デメリットがあり、しっかり内容を理解して活用することが重要
  5. スタートアップの事業ステージ毎の利用すべき調達方法について、「シードステージ(シードラウンド)」「アーリーステージ(プレシリーズA~シリーズAラウンド)」「ミドルステージ以降(シリーズBラウンド以降)」にわけて紹介いたしました

ベンチャーデットについては、関連記事「ベンチャーデットとは|概要・特徴・メリット・融資との違い・資金調達事例をまとめて解説」にて詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

RBFについては、関連記事「RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)とは|新しい資金調達方法を分かりやすく解説」にて詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

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