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『なぜ今ベンチャーデットなのか?』( #起業のデットファイナンス )

年間500名以上の起業家から資金調達の相談を受けるINQの若林さんが運営する番組「起業のデットファイナンス」に代表の安部が出演しました。

今回は2025年1月21日に「起業のデットファイナンス」で配信された『#21なぜ今ベンチャーデットなのか?』について記事化しましたので、ご覧ください。

目次

概要

■『なぜ今ベンチャーデットなのか?』( #起業のデットファイナンス )

実際の配信コンテンツは以下よりご確認ください。

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■ 出演者

  • 若林哲平さん(株式会社INQ ⁠代表取締役)
  • デットファイナンスのハンズオン支援を中心に、様々な領域のスタートアップの資金調達を支援。累計1,200件87億円超の資金調達を支援するチームを統括。
  • https://my.prairie.cards/u/wakaba
  • 安部匠悟(株式会社Fivot代表取締役)
  • 一橋大学経済学部を卒業後、メリルリンチ日本証券(現BofA証券)の投資銀行部門にて、金融法人グループを担当し、銀行・保険会社向けのM&A助言および引受業務に従事。新しい金融を創るという想いから、2019年10月に株式会社Fivotを設立し、代表取締役に就任。

Fivotの創業の背景について

INQ若林さん:

「起業のデットファイナンス」年間500名以上の起業家から相談を受けるデットファイナンス支援のINQの若林がスタートアップ起業家のリアルなお金の悩みを解決していく番組です。今回はスペシャルゲストをお招きしてお話ししていきたいと思います。チャレンジャーバンクとして、挑戦するスタートアップ起業家にFlex Capitalというベンチャーデットを提供しているFivotの安部さんです。まずは簡単に自己紹介をお願いします。

Fivot安部:

弊社は2019年10月に創業したスタートアップです。Flex Capitalというスタートアップ企業向けのデットファイナンス事業を行っており、これまで約200社のスタートアップ企業に融資を実行してきています。実際に弊社がリスクマネーを供給する金融機関として、事業を行っています。

若林さん:

INQも年間500件以上の起業家からご相談いただく中、まさにシードの調達を終えシリーズAに向かっていく過程の中で、銀行融資やエクイティも踏み込めないというタイミングの起業家にFivotのFlex Capitalをご紹介し、お世話になっている企業が多くあり、弊社にとって貴重なパートナーでもあります。では、Fivot創業の経緯を教えてください。

安部:

私は元々証券会社のM&A部門に所属し、特に金融機関向けの案件に携わってきました。例えば、メガバンクによる海外銀行の買収や地方銀行の合併・統合のアドバイザリーといった業務ですが、この経験を通じて、日本の金融機関が抱える課題に直面しました。具体的には、組織の硬直性や新しいリスクを機動的に取れない体質といったものであり、これが日本の経済成長を制約していると強く感じました。

一方で、海外では「チャレンジャーバンク」と呼ばれるスタートアップが銀行免許を取得し、より便利でスピーディーな金融サービスを提供する動きが広がっていました。この流れに触れ、日本でも同様の取り組みが必要であると確信しました。社会における責任や影響力を持つ金融機関がより効率的になることで、経済全体が効率化し、さらなる成長の可能性が生まれると感じ、チャレンジャーバンクを標榜してFivotを創業しました。

若林さん:

2019年10月に設立・創業がされて、2021年にFlex Capitalがスタートされていますね。

安部:

2021年初頭にFlex Capitalとして1件目の融資をスタートアップ企業に実行させていただきました。当時はまだまだ手探り状態ではありましたが、そこから4年ほど経過した今、200社以上のご支援をさせていただきました。

弊社もスタートアップ企業として2022年9月に10億円のシリーズAエクイティ調達を行いました。この際、三井住友銀行等の大手金融機関からの出資を得ており、現在は金融機関のお力添えをいただきながら、より大きな規模でスタートアップ企業の支援ができるよう尽力しています。

若林さん:

支援先について、2023年末に100社から、2024年には200社を超えており、スピードアップされています。

安部:

成長の角度が上がっている背景には、スタートアップ企業のデットファイナンスに対する認知やニーズがまさに高まってきていると感じており、弊社もしっかりと事業を拡大しております。

スタートアップ界隈で盛り上がっているベンチャーデットとは?

若林さん:

昨今ベンチャーデットについてスタートアップ界隈でよく耳にしますが、そもそもベンチャーデットについてどのように定義をしますか。

安部:

ベンチャーデットについてはさまざまな定義があると認識しており、弊社が定義しているベンチャーデットについても、狭義から広義まであると考えています。狭義では、ベンチャーキャピタルなどの投資家から出資を受けているスタートアップ企業に対し、新株予約権などのエクイティ要素をつけたデットファイナンスを提供するものです。これはエクイティ調達とデットファイナンスの中間のようなもので、エクイティ性のアップサイドを一部取りながら、デットファイナンスとしての安定性も確保するものと思っています。広義では新株予約権などをつけず、銀行ローンのような通常ローンを提供するものです。さらに広げローンではなく、ファクタリングに近いようなものや後払いサービスのような性質を持ったエクイティではない方法でファイナンスをするというものが一番広い意味でのベンチャーデットになるのではないかと考えています。

若林さん:

説明いただいた中でFlex Capitalが提供しているベンチャーデットはどこに該当しますか。

安部:

Flex Capitalでは新株予約権をつけない融資と後払いサービスに該当する領域で商品を提供しています。

ベンチャーデットの必要性

若林さん:

ありがとうございます。Flex Capitalについては次回詳しくお聞きします。説明いただいた3種類のベンチャーデットについて、なぜ今これほどベンチャーデットが必要とされているのでしょうか?

安部:

理由はいくつかあります。一つは、政府がスタートアップ支援政策を強化していることです。特に「スタートアップ育成5カ年計画」の中で、スタートアップ企業の量も質も10倍にする目標が掲げられています。このような背景の中で、エクイティ調達だけでは資金調達が十分でないため、足りないピースとしてデットファイナンスにフォーカスがあたっており、実際にスタートアップのエコシステムを成長させる重要な役割を果たすと思っています。もう一つは、近年のIPO市場の停滞やエクイティ調達の長期化の影響で、バリュエーションがつきづらくなっていることです。これにより、バリエーションをつける必要がなく、株式も希薄化しない、スピーディーに意思決定ができるデットファイナンスが、資金繰りを支え、次回のエクイティ調達までのトラクションを作るための資金調達手段として注目されていると思います。

若林さん:

ありがとうございます。公的制度で日本政策金融公庫の制度拡充や保証協会貸出に連帯保証が求められないケースがあるなど、さまざま施策もベンチャーデットを後押しする追い風になっていると思います。さて、2021年にスタートされたFlex Capitalですが、スタートアップとお話しする中で、顕著にエクイティ調達の長期化やバリエーションの難しさが高まってきたと感じたタイミングはありましたか。

安部:

2023年から2024年冒頭にかけて実感することが多かったと思います。これまで通りですとバリエーションもつき、エクイティ調達ができていたであろうスタートアップ企業もスムーズに交渉がまとまらず、調達に時間がかかるようになったことや、バリエーションが想定通りにつかなくなった事象を顕著に感じることが多くなり、それにつれ、ご相談いただく件数も増加してきました。エクイティ調達が遅れる中、ブリッジ資金の確保、あるいはマイルストーン達成のためにデットファイナンスを活用したいという相談が増えたと感じています。

若林さん:

ベンチャーデットとエクイティ調達を比較することは難しいですが、長期化している状況においてはエクイティ調達でブリッジするという選択肢もあります。ここにおいて、ベンチャーデットがあることの意義があると思いますが、いかがですか。

安部:

ベンチャーデットにおける一番の良さは株式の希薄化を防げることです。つまり、そのタイミングで株式の譲渡もなければ、バリエーションも決めなくて良いところが非常に大きな利点であると考えています。弊社自身もスタートアップ企業で、エクイティ調達を検討するタイミングはありますが、つなぎでエクイティ調達をすることは可能であれば選択したくないと思っています。理由としては、やはり条件面で厳しいものになる可能性が高いこと、また一定の調達を実施していると株主の数も増えるため、全員の合意を得ることは時間や説明コストを考えると厳しいためです。

若林さん:

ありがとうございます。その点、例えばFlex Capitalでは申込み後、早いタイミングで審査結果を提示されていると思いますが、どれくらいのスピードで対応されておりますか。

安部:

審査に必要なデータを提出いただいた後、10営業日以内で審査結果を回答しています。その結果、弊社から実行できる場合には、必ずタームシートという条件のご提案も一緒にさせていただいています。

ご提案後、結果としてすぐにはFlex Capitalを使用しないというお客様もいます。例えば弊社の審査結果を持って、再度エクイティ調達を進めながら、頃合いを見て必要であれば利用する、必要なければ利用しないというご利用のされ方もあります。すぐに結果が返ってくること自体が、日々いろいろな経営判断を迫られている起業家にとっては、大変嬉しいことではないかと感じています。やはりなかなか結果が出ない状態で、ずっと暗闇の中でさまざまなオプションを検討し続けることは大変なことです。検討しているもののうち、1つでもすぐに結果が出ており、使うかどうかはあなた次第ですという状態が作れていることは、1つの価値だと思っており、弊社はそれを重視してサービスを展開しています。

若林さん:

INQでも資金繰りについてご相談をいただいており、銀行融資ができるか否かという相談をしている中で、Fivotさんの融資可能という審査結果の通知をお守りのような安心材料として認識されているようです。

ここまでエクイティ調達との比較でお話しいただきましたが、一方で銀行融資と比較してみると、まだまだスタートアップへの融資は難しいところがあると思われます。やはりスピード感がその一因かと思いますが、いかがですか。

安部:

銀行融資についても、やはり基本的には時間がかかるものであると思いますが、直近様々な銀行が改善をされようとして、以前よりも審査スピードを早くされてるところがあると伺ってます。ただ、まだまだ一般的には時間がかかること、また、少しプロセスも煩雑であり、経営者のリソースが審査に一定取られるところが正直あると思っています。

また、直近ベンチャーデットが盛んになっており、銀行のみならずファンドなど含めてベンチャーデットを出しているプレイヤーが増えています。その中にあって、ものによっては「コベナンツ」と呼ばれる特約が付いているベンチャーデットがしばしばあります。このコベナンツにはよくよく注意をした方が良いと思います。「コベナンツ」とはお金を借りている間はこれを守ってくださいという約束ごととなり、契約に盛り込まれています。一般的には「債務超過にならないでください」というものや「現預金を月商のNヶ月も持っていてください」というものがあります。より厳しいものでいうと「ランウェイはNヶ月以上を保持しておいてください」というものがあります。

コベナンツはさまざまな形で付いてくるため、事業計画にそれを反映しておくことが必要です。ネガティブなケースとなると、お金を借りたが、コベナンツが発生し、すぐにお金を返さなくてはいけない状況になる場合や、実際に使えるお金が実は想定以下となってしまう場合があります。経営者とっては選択できるオプションが増えているからこそ、細かく比較検討していく必要があると思います。

Flex Capitalでもコベナンツはついていますが、担保・保証提供に関する比較的シンプルなものにしています。Flex Capitalは実行した融資をなるべく自由に使える形で提供をしていますが、広くベンチャーデットの中にはどうしても制限が付いてしまうものがありますので、よくよく比較していただけると良いと思います。

若林さん:

銀行融資との比較となると、「格付」というものの違いが大きいと感じています。銀行融資では、決算書に基づいて企業の格付が行われ、それが融資の判断基準になります。この格付には、例えば「債務超過かどうか」「連続赤字が続いているか」など、財務状況に関する項目が重視されます。また前期の年商規模も判断材料として重要視されるため、例えば「前期までは売上が小さかったが、今期PMFして急成長している」といったケースでは、評価が追いつかないこともあるかもしれません。Flex Capitalの審査における決算書の位置付けについて教えてください。

安部:

決算書は直近のものはいただきますが、半年前に会社を作った、そもそもまだ決算を終えてない融資先もいますので、そこだけをみてるということは全くないです。Flex Capitalではより細かいデータとしての月次の財務・会計データやさらに細かく仕訳の一本一本のデータなどを見て審査をしており、「スタートアップ企業の成長の兆候を逃さない」ことを意識しており、少しPMFし始めたという事象も評価をして融資ができるというところが特徴となっています。まさにこの部分がFlex Capitalのコアな強みの部分となっています。

最後に

若林さん:

まさに秘伝のタレというところですね。本日は非常に参考になるお話をありがとうございました!最後に、Fivotからのお知らせをお願いします。

安部:

ありがとうございます!まずは秘伝のタレを作るための職人の採用を進めております。

一つがいわゆる審査セクションにおいて、さまざまな取得しているデータを機械だけでは判定できないところがあり、最終的には人が総合的な判断を下す部分があります。この部分の審査人員の採用をしております。さまざまなスタートアップ企業の皆さまのデータをいただき、審査をしており、とてもエキサイティングで面白い業務であると思っています。また旧来型のいわゆる型にはめるような審査モデルではないため、知的好奇心や数字に対してどのようにやっていくのが良いかをを考えることが好きな人にとってはとてもマッチする部分があると思います。

またそれをエンジニアサイドで支えるデータサイエンティストやデータエンジニアというポジションも採用しています。新しい金融モデルを共に作りたい方はぜひご応募ください。

最後にスタートアップ企業の皆さま向けに迅速かつ柔軟な資金調達手段を提供しています。融資となるとお申込み自体が煩雑になるのではと感じる方もいらっしゃいますが、早い方では15分程度でオンラインで簡単にお申し込みいただけますので、資金ニーズがある企業はお気軽にお問い合わせください。

若林さん:

本日はありがとうございました!次回のエピソードでは、FlexCapitalの詳細についてさらに深掘りしていきますので、どうぞお楽しみにしてください!

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