【イベントレポート】アーリーステージ必見!スタートアップファイナンスまる分かり座談会
目次
アーリーステージ必見!スタートアップファイナンスまる分かり座談会とは?
ベンチャーデット、ベンチャーキャピタル、創業融資の専門家が資金調達の秘訣を詳しく解説したイベントとなりました。それぞれの資金調達手段について個別に知っていても、最適な活用タイミングや潜在的なリスクを理解することが重要であることはも確認しつつ、これらの資金をどのように組み合わせて効果的に活用できるかについても議論させていただきました!
登壇者のご紹介
株式会社ANOBAKA 代表取締役社長 パートナー / 長野泰和
株式会社ANOBAKAの代表取締役社長を務めるベンチャーキャピタリスト。KLabでの新規事業開発経験を活かし、2020年にANOBAKAを設立。シード期のスタートアップに特化し、累計180社以上に投資を実行。
HP: https://anobaka.jp/ X(旧Twitter):@hiro_nagano
株式会社INQ代表取締役 CEO / 若林哲平
スタートアップ融資のINQ CEO / 創業期のスタートアップの融資を累計1,200件・87億円超支援する認定支援機関。東京都ASAC・NEXs TOKYOなどの自治体主催のアクセラのメンターを務める。趣味は音楽とお弁当づくり。4児の父。
HP:https://inq.finance/ X(旧Twitter):@wakaba_office
株式会社Fivot 代表取締役 / 安部匠悟
メリルリンチ日本証券(現BofA証券)の投資銀行部門にて、主に金融法人グループで銀行・保険会社への助言・引受業務を担当。その後、新しい金融を創るという想いから株式会社Fivotを創業。
はじめに
はじめに資金調達についての概要、また今回のイベントで対象とするベンチャーキャピタル、ベンチャーデット、創業融資について簡単にお伝えさせていただきました。
資金調達についての概要
ベンチャーキャピタル、ベンチャーデット、創業融資について
創業時(アーリースステージ)でベンチャーデット、VC、創業融資はそれぞれ活用できるのか
創業したてで、まだプロダクトの売り上げもないようなスタート後に創業融資は受けられるのか?
(INQ若林さん)
100%ではないものの、創業融資を受けることは可能です。実際、日本以外の国では、創業融資みたいなものはあまりないようです。ただ日本では、非常に優れた創業融資制度というものがあります。日本政策金融公庫や信用保証協会です。国の施策として、企業を支援するための仕組みがあるので、ぜひそれを活用しましょう。
エクイティ調達ができるタイミングやどんな方に投資をしていますか?
(ANOBAKA長野さん)
この人に投資したら、上場まで行けそうだという雰囲気がある人だったら、いつでも投資したいと思っております。具体的には起業家とディスカッションして、さまざまな角度から質問をたくさんさせていただきます。毎月多くの起業家の中で、「 めちゃくちゃ本気で、24時間365日、成功のために事業のことを考えてる」ということがわかった方には投資をさせていただいています。
Flex Capitalのデット支援はどのステージの方が多いのか?
(Fivot安部)
ベンチャーデットというと、ミドル、レイターステージでの利用をイメージする方も多いと思いますが、少なくとも弊社は、ご融資させていただいてる先は75パーセントがシリーズB手前の会社となっています。サービスがまだなく売上げが全くないと利用は厳しいです。少なくとも売り上げが6ヶ月以上実績があるという状態で初めて審査ができるものとなります。
ベンチャーデット、VC、創業融資の落とし穴はあるのか
エクイティ調達で、気をつけなければいけない点はどんなところでしょうか?
(ANOBAKA長野さん)
エクイティの調達は、会社の権利を売るということなので、非常に重い選択となります。よって株主と揉めたりすると、大変なことが待ち受けております。特に出資も受けて、大株主で社外取締役にも入って、その社外取締役の方と揉めるようなケースが発生すると、いくら事業が良くても大変な状態となります。以上のことからエクイティ調達は非常にリスキーな調達手段という側面があると認識しています。
ベンチャーデットを利用する際に気を付けなければいけないポイントはありますか?
(Fivot安部)
ベンチャーデットはお金を返さなないといけない期限がありますので、返せば終わりという側面があります。ただしストックオプションを付ける出し方と、付けない出し方の2パターンがあります。ストックオプション付きの融資となると、その融資してくれた銀行なり、弊社のような会社が株主になる可能性があります。これは一生のお付き合いと言ったら変ですが、ずっと残り続ける人になるという点においては気をつける必要があると思います。
加えてコベナンツについては、実は落とし穴と言えるかと思います。守らないといけない約束事が増える可能性があるので、認識していただければと思っております。コベナンツとはお金を借りる時に銀行から守ってくださいと言われる約束事のことです。例えば新しい借り入れをするときは私たちに言ってくださいということも約束事ですし、新しく担保とか提供しないでくださいねということもお約束事となります。もう少し事業に即したことで言うと、売上高成長率を何パーセント以上に保ってくださいというような約束事もあるかもしれないですし、利益率はこれぐらいを保ってくださいというようなものもあり得ます。本当に多岐にわたる約束事を決められることが、実はあります。
ベンチャーデットの出し手は、例えば5億円とか数億円単位のものになると大体コベナンツを付ける印象があります。ただしここは実際に融資の条件が決まる最後の段階まで見えないところではありますので、コベナンツがついてくる可能性があるということを認識しておく必要があります。さらにコベナンツが付く場合は、それを守らないとどうなるかというと、すぐにお金返してくださいと言われ、その瞬間5億円というお金を用意しないと、やろうと思えば倒産まで持っていかれるという可能性があります。
創業融資の落とし穴というよりは結構厳しい条件があるのではと思いますが、いかがでしょうか?
(INQ若林さん)
創業融資については、決算書があてにならない時期だからと言う背景から、ポイントが3つに絞られています。
- 代表者の方の経験
- 自己資金の準備状況
- 事業計画がしっかりしてるか、計画まないし実績がもう出ているか
この 3つのポイントの総合評価で決まってきます。この総合評価が高ければ審査が通るというものになります。
国がスタートアップ育成5か年計画をうたっており、スタートアップ企業の数を増やすという観点で、代表者の連帯保証をできるだけつけない融資を優先していく方向性に変わってきています。、そういった点では、落とし穴が塞がれている状況ではあります。
ベンチャーキャピタル、創業融資、ベンチャーデットの最適な組み合わせはあるのか
出資したスタートアップに、ベンチャーデットや創業融資を進める場面というのはあるのでしょうか
(ANOBAKA長野さん)
これは組み合わせる方が良いと思っております。、逆にエクイティファイナンスが決まっていれば、創業融資も調達しやすく、ベンチャーデットも、「あのVC投資してるのであれば」、と安心してやってくれる可能性が高いと思っています。全部VCからのエクイティ調達だけで大きく希薄化する状況も良くはないし、自己資本が薄いタイミングで融資による調達をして返済が少し怖いみたいな状況もやはり良くないです。この組み合わせというのは非常に重要で、経営者のバランスが求められると思っています。
ベンチャーデットを提供される際に他の銀行からの借り入れがあったり、ベンチャーキャピタルさんからの出資などについて気にされているポイントはあるのでしょうか
(Fivot安部)
ベンチャーデットの観点から言うと同じにはなるのですが、全部使ってもらった方がいいというところが正直なところです。気にしているポイントとしては、「所有と経営の分離」というところです。会社のお金と創業者個人のお金が混じっていることはよくないと思っておりまして、経営の目線みたいなところで言うと、やはりVCさんが入っていると、その目線が高まってることが多いので、やりやすいと思っています。
創業融資の観点からベンチャーデットとベンチャーキャピタルがどのように補完し合うという風に考えてらっしゃいますでしょうか
(INQ若林さん)
まず、創業融資ですが、それだけで必要十分な金額が調達できるわけでは必ずしもないです。統計があるわけではないのですが、エクイティファイナンスの金額の3分の1ぐらい調達できたらいいぐらいの感覚値ではないかと思います。よってリーンに始めてスモールビジネスで着実に成長していきたい方向性であれば、割と創業融資で十分ではないかと思います。しかし急成長をしていこうという風になると、やはりその他の資金調達方法を当然に組み合わせるべきであると思っております。
参加者のお声
以下、参加者の方からいただきましたお声となります。
※ 一部、加筆修正を加えさせていただいております
- いろんな話や出会いがあった
- 創業融資に関して気になっている点を相談させていただいたうえに、様々なバックグラウンドをお持ちの方から過去のご経験に基づくアドバイスをいただけたため非常に有益でした。
- 内容としては結構広く浅くだったが、懇親会が良かった
- ファイナンスの知識やネットワーク作りができたからです
- 創業融資、VC、ベンチャーデットが揃う機会はなかなかないので、次回あればまた参加させていただきたいです。
- ファイナンスの目線感をそれぞれの立場で聞けたことと、失敗例について伺えたことも良かったです。
- 会社とは関係ないですが、個人的には起業している方々の話を聞けて刺激を受けられたのも良かったです。ありがとうございました!
- インタラクティブに楽しめました
- これまでつながりのなかった会社とつながりが出来たこと。
- ベンチャーデットについての理解が深まった
- アーリーステージにおけるデットファイナンスの考え方が分かった。
Fivot「Flex Capital」はスタートアップ企業様向けの新たなデットファイナンスを提供します
ご覧いただきありがとうございました。
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