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「チャレンジャーであり続けられる」──ベンチャーデットで描くTimeCrowdの“次なる挑戦”

タイムクラウド株式会社 様
時間管理ツール「TimeCrowd」を展開するタイムクラウド株式会社。リモートワークや人材多様化が進む中、時間というリソースを可視化し、チームの生産性と働き方改革を支援してきた同社は、顕在化していない市場の創出という挑戦に挑みながら、柔軟なファイナンス戦略によって、着実な事業成長を実現してきました。
今回は、CEO西小倉宏信さんへのインタビューを通じて、ベンチャーデットをはじめとする多様な資金調達手段の活用実態と、それによって可能になった事業のスケーリング、さらに今後の成長を見据えたプロダクト戦略および資本政策について、リアルな声を紹介します。

目次

「生きた時間」を増やす。時間から働き方を変えるTimeCrowdの挑戦

ーーそもそも、どうして「時間の見える化」というテーマに向き合うようになったのでしょうか?

きっかけは、「人の時間にちゃんと向き合いたい」という思いでした。私自身、仕事が好きでハードワークしがちなタイプなのですが、すべての人がそうではありません。また、今は若さゆえに可能な働き方も、年齢を重ねるにつれて変化していくものだと感じていました。

働き方や価値観は人それぞれで、同じ人でもライフステージによって大きく変わります。であれば、一人ひとりが本当に大切にしたい時間に寄り添えるサービスを創りたい——そんな思いが原点となりました。

そこで生まれたのが、TimeCrowd(タイムクラウド)というサービスです。何にどれだけ時間を使っているのかを可視化し、その中で「生きた時間」を増やしていく。これが私たちのミッションです。

TimeCrowdは単なる「勤怠管理ツール」ではなく、業務単位・プロジェクト単位で”誰が、何に、どれくらい時間をかけたのか”をリアルタイムに記録し、チーム全体で共有・分析できるプラットフォームです。これにより生産性向上や人材配置の最適化、そして働き方そのものの見直しを促進します。

私たちが最も大切にしているのは「生きた時間をいかに増やすか」という視点です。「無駄を削る」という発想ではなく、一人ひとりの価値ある時間をどう創出するかを考え、そのためのサービスとしてTimeCrowdを磨き続けています。

  • 西小倉 宏信/ タイムクラウド株式会社
  • 2007年関西大学総合情報学部卒。同時に株式会社マインディア(現ラフノート株式会社)設立。自己資本で受託開発事業にて14年間ほぼ黒字経営を行う。2017年にタイムクラウド株式会社設立。2021年にタイムクラウド株式会社の資金調達の選任義務につきラフノート株式会社の代表を辞任。

“こうなったらいいな”を現実に変えた、資金調達という転機

ーーこれまでの資金調達の経緯について教えていただけますか?

Web2.0が盛り上がっていた頃、「はてなブックマーク」を展開していた株式会社はてなが私たちのロールモデルでした。当時のはてなも売上の大半を受託開発で支えていたと聞き、「それでもいいんだ」と非常に腑に落ちたことを覚えています。

そこで私たちも、まずは受託開発で基盤を作りながら、自社プロダクトに少しずつリソースを投入していくというアプローチで事業をスタートしました。

2007年の法人化当初は、安定した売上と呼べるものはほとんどなく、受託開発で得た利益をすべて自社プロダクト開発に再投資している状態でした。創業から10年以上が経過してもキャッシュフローは不安定で、「このまま続けるのは難しいかもしれない」と何度も思い悩むことがありました。

そんな中、2021年に初めてエクイティでの資金調達を実施し、私たちのビジョンと事業に共感してくださるベンチャーキャピタル(VC)との出会いがありました。「ぜひ一緒にやりましょう」という後押しを得られたことが、大きな転換点となりました。今振り返っても、あのタイミングで新たな一歩を踏み出せて本当に良かったと感じています。

ーーVCからの資金調達前後で、資本戦略の考え方に変化はありましたか?

それはもう、事業環境が劇的に変化したという感覚でした。理想だとは思っていたけれど、これまでずっと実現できなかったプロダクト開発のスピードアップや、マーケティング施策の本格展開が、どんどん現実のものになってきています。気づけば、10年近く叶えられなかった事業規模の拡大やチーム体制の強化が、確かな手応えとともに動き始めていたんです。

考え方も180度変わったような感覚があります。リソース不足に悩みながらの小さな一歩から、成長を見据えた大胆な投資判断ができるようになりました。そういった変化は、VCから資金調達することによって、初めて得られたものだったと思います。

エクイティだけじゃない。上場を見据えた資本戦略のリアル

ーーExit戦略として、どのようなスケジュールを描いていますか?

上場を目指しています。最近はグロース市場の上場維持基準が厳しくなるという動向や、「バイアウトのほうが適しているのでは」という意見もありますが、私自身としては、やはり上場を目指したいという思いが強いです。

ーー現時点での資金調達に関して、どんな課題や悩みを感じていますか?

課題を挙げる前に、VCからのご出資いただいたことを受けて実感したことをお話ししたいと思います。

私たちは「タイムトラッキング」という領域に取り組んでいますが、この市場は日本においてまだほとんど形成されていない状況です。顕在化していないマーケットをゼロから創出していくような事業です。

したがって、長期的な目線で支援していただけるVCを探しつつ、一方でエクイティ調達以外の資金調達手段を持つことが重要だと考えています。たとえば今回のように、Flex Capitalのようなベンチャーデットを活用する選択肢は、未成熟市場に挑戦する我々にとって非常に有効です。エクイティ投資家が求める急速な成長見通しを常に示す必要がなく、自社のペースで市場開拓と事業拡大を進められる点が大きな魅力だと感じています。

ーーエクイティ調達のラウンドが進むほど、難易度も上がっていく印象はありますか?

そうですね。これから先、事業ステージが上がるごとに、求められる水準がさらに高くなっていくのは間違いないと思っています。

VCからのDDなどに時間と労力がかかる一方でFlex Capitalは30分の面談とfreee会計連携などを対応すれば10営業日で審査結果がでて驚きました。このようなスピーディーで柔軟な資金調達手段があったからこそ、私たちも足を止めることなく、次の事業成長に向けた挑戦に踏み出せていると実感しています。

スタートアップに見えた“第3の選択肢”——Flex Capitalとの出会いと決断

ーーFlex Capitalを知ったきっかけを教えてください。

もともと「ベンチャーデット」という資金調達手段については認識しており、選択肢の一つとして考えていました。ちょうどその頃、UPSIDER Capitalなどのベンチャーデットサービスの認知も広がっており、「銀行以外からの資金調達」という選択肢が現実的になっていることを感じていました。

そんな中で御縁あって知人の会社からノンバンク融資で2,000万円の資金調達すをることができました。エクイティ調達でもなく、銀行融資でもない第三の選択肢としてのベンチャーデットが実際に機能していることを具体的に認識しました。この話をサポートしてくれているVCに相談したところ、肯定的な反応があり、ベンチャーデットの活用を検討してみようと思ったのがきっかけです。

その後、VCパートナーからFlex Capitalを紹介していただくことになりました。

ーー実際に話を聞いてみて、使おうと決めた理由は何ですか?

やはり一番大きかったのは「時間」という要素です。従来の銀行融資はとても時間がかかる割に、結局審査が通らないこともあり、投じた時間に対して成果が得られないケースが多いと感じていました。

私たちは「時間」をテーマにしたサービスを提供しているだけに、資金調達のために過剰な時間的コストをかけることは本末転倒だと考えています。だからこそ、多少金利が高くても、短期間で審査が完了し、契約から着金までが迅速に進むFlex Capitalのスピード感は非常に魅力的でした。

実際の手続きも書類の準備から審査、契約まで非常にスムーズで、スタートアップの実情に合わせた理想的な資金調達の形だと実感しました。

ーー他の資金調達の選択肢も検討されましたか?

もちろん、銀行融資や他のベンチャーデットなど、複数の選択肢を並行して検討していました。ただ、現実的にはなかなか厳しい状況でした。月間売上が数百万円程度の時、銀行融資では売上実績に基づいた厳格な融資上限があり、もちろん審査が通過する確証もありませんし、仮に審査を通過したとしても1,000万〜2,000万円が限度、という状況でした。

さらに、銀行融資は決算書に加えて詳細な事業計画書など融資を検討してもらうために多くの書類準備が必要で、審査完了まで数か月を要するケースも珍しくありません。事業の成長スピードを考えると、そのような時間的コストをかけられないという判断から、他の選択肢は見送りました。

ーー導入時に不安や懸念はなかったですか?

「審査に落ちたらどうしよう」という不安は多少ありましたが、それほど大きなものではありませんでした。私たちは「時間を無駄にしない」というミッションを掲げている会社ですので、仮に審査に通らなくても、投入した時間が最小限であれば、それは許容できるリスクだと考えていました。

実際、Flex Capitalの手続きは、会計システムfreeeとの連携による財務データなどの共有と30分程度の面談だけという、驚くほどシンプルなプロセスでした。これなら万が一、審査が通らなかったとしても、時間的コストは最小限で済むという安心感がありました。スピーディーな審査と手続きの簡便さは、「時間」をテーマにしている私たちの企業理念とも非常に合致していたので、まずは挑戦してみようという前向きな気持ちで進められたのは大きかったですね。

ーー使ってみて、どんな魅力を感じましたか?

一番の魅力はやはり、「資金調達の選択肢が大きく広がった」という点です。

スタートアップにとって資金調達は常に課題であり、特に厳しい局面では選択肢が極端に限られてしまいます。従来であれば、銀行融資が難しく、VCからの追加出資も厳しい状況になると、事業売却や買収(バイアウト)といった選択を迫られるケースも少なくありませんでした。

その中で、Flex Capitalのようなベンチャーデットという新たな選択肢があることで、「自分たちのビジョンを諦めず、チャレンジャーであり続けられる」という新たな道が見えてきたのです。株式の希薄化を避けながら必要な成長資金を確保できる仕組みは、私たちのような更なる成長を目指すスタートアップにとって、事業の継続と拡大を両立するための大きな支えになっています。これは単なる資金調達手段を超えた、スタートアップの生死と成長にとって本質的な価値だと実感しています。

「スケールのために、止まらず踏み込む」──資金が生んだ新しいチャレンジ

ーー今回調達した資金は、どういった目的で使われたのでしょうか?

これまで当社は、プロダクト開発に集中するあまり、マーケティングや営業活動にはほとんど投資をしてきませんでした。いわば開発主導の組織体制で、マーケティング担当者も専任の営業担当者も不在という、プロダクト志向の強い状態でした。

しかし、事業をスケールしていく段階に入ると、優れたサービスを開発するだけでなく、それを市場に広く届けるための体制構築が不可欠だと意識するようになりました。特にSaaSビジネスでは、成長フェーズでの適切なマーケティング・営業投資がその後の事業拡大を大きく左右します。

今回Flex Capitalから調達した資金は、この成長のタイミングを逃さないために、マーケティング機能の強化と営業チームの拡充に集中的に投資しています。具体的には、営業人材の採用を停滞させることなく継続的に進め、さらに顧客獲得のためのマーケティング施策を本格的に展開するための原資として活用しています。資金調達のスピードが速かったからこそ、成長機会を逃さずに投資判断ができたことは、非常に大きな意味がありました。

ーーその判断の先に、具体的な変化はありましたか?

資金調達の効果は、事業成長として目に見える形で表れています。今期は前期売上の3倍という野心的な目標を掲げています。

そこでFlex Capitalからの資金を活用し、私自身が新規事業担当として参画する形で、AIを活用した業務委託管理ツールの開発に着手しました。これは単なるアイデア段階の取り組みではなく、すでに具体的な成果が出始めています。今年前半は新規事業の基盤を固める時期と考えていましたが、計画よりも早く顧客からの受注が始まり、5月には実際のサービス運用もスタートしました。

現時点で目標としていた売上の5%を既に創出できており、ここからさらに多くの顧客へサービスを展開していく段階に入っています。このように、新規事業を確実に立ち上げ、収益化まで短期間で実現できたのは、Flex Capitalを通じて適切なタイミングで十分な資金を確保できたからこそです。資金調達のスピードと柔軟性が、私たちのビジネスチャンスを逃さない事業展開を可能にしたと感じています。

いま必要なのは“広げ方”と“支え方”——TimeCrowdの次なるステージに向けた成長戦略

ーー今後の戦略について、どのようにお考えでしょうか?

「タイムトラッキング」という分野は、現状ではまだ検索ボリュームも低く、市場としても十分に顕在化していないと認識しています。実際のところ、社内で体系的な時間管理を実践している企業は、日本ではまだ非常に限られています。

このような市場環境では、単純に「タイムトラッキングを導入しませんか?」と直接的に訴求しても、多くの企業から関心を得るのは難しいのが実情です。そこで私たちは戦略を転換し、より具体的な業務課題に焦点を当てたアプローチを採用しています。例えば「業務委託先の管理でお困りではありませんか?」という切り口から会話を始めると、企業側も明確な課題意識を持って対話に応じてくれます。その中で「どうやって業務委託先を効率的に管理するのか」という具体的な解決策として、TimeCrowdによる時間管理の仕組みを提案できるようになります。

そこからタイムトラッキングの価値を体験してもらう。このようなマーケティング戦略が、Flex Capitalからの資金調達によって本格的に始動し、少しずつ成果が見え始めているところです。市場を創造していく段階では、このような段階的なアプローチが非常に重要だと考えています。

ーー中長期の展望としては、どのような目標を掲げていらっしゃいますか?

今年だけでなく来年も連続して3倍成長したいと考えています。一見するとかなりチャレンジングな数値目標ですが、AI技術の急速な普及という大きな追い風を感じており、適切な投資と戦略でこの成長曲線は実現可能だと考えています。

実際に、私たちもビジネスの様々な領域でAIを積極的に活用していますが、現時点でも「これは非常に効果的だ」と実感できる部分が多くあります。同時に「まだ限界がある」と感じる領域もありますが、その限界と思われていた部分が、AIの進化によって急速に解消されていく様子を日々目の当たりにしています。この技術的なブレイクスルーと、Flex Capitalからの機動的な資金調達によって実現した組織体制の強化が相まって、私たちのビジネスは加速度的に成長できる環境が整いつつあります。

技術トレンドを的確に捉え、適切なタイミングで必要な投資を行うことができれば、この目標は十分に達成可能だと確信しています。

ーーその成長に向けて、今後の資金調達についてはどのようにお考えですか?

現在は事業拡大に伴い資金を積極的に投下している段階で、保有資金は徐々に減少傾向にあります。

ただ、現状の当社の企業価値評価は、次のステップに進むための絶妙なポジションだと捉えています。私たちはこれを「最後のエンジェルフェーズ」と位置付けており、現在は個人投資家の方々から500万〜1,000万円規模の資金調達を検討しています。

この段階を経て、事業成長とともに企業価値を着実に高め、次の大型資金調達ラウンドに備えていく計画です。企業規模が拡大するにつれて、事業売却(バイアウト)という選択肢は徐々に現実的ではなくなると考えています。

TimeCrowdが目指す人的資本経営の新たな形

ーーTimeCrowdの魅力について、他のスタートアップの方々にぜひメッセージをお願いします。

今回、新たな資金調達を機に、「TimeCrowdとは本質的に何なのか」を改めて見つめ直す機会がありました。その過程で強く再確認したのは、私たちは「人的資本経営」—つまり人材を単なるコストではなく重要な投資対象と捉える経営—を支えるプラットフォームを創っているということです。

現代の企業運営では、「人」に関する情報は人事部門が、「お金」に関する情報は財務部門が管理しており、これらのデータがほぼ完全に分断されているケースが大半です。財務資料における「人」の情報は、多くの場合「人件費総額」や「役員報酬」といった数字だけにとどまります。一方、人事データベースでは基本的な履歴情報は管理できても、「この人材がどのプロジェクトでどれだけの経済的価値を創出してきたか」といった財務的視点は欠けています。

この分断を解消するのがTimeCrowdです。当サービスには「誰が、どの顧客・どのサービスに、どれだけの時間を投入してきたか」という他にはない貴重なデータが蓄積されます。これにより、人事担当者は「この人材は特定の顧客に対して高いパフォーマンスを発揮している」と客観的に評価できるようになり、事業責任者も顧客別・プロジェクト別の時間配分から「この分野の専門知識を持つのは誰か」を即座に把握できるようになります。

TimeCrowdは「人の時間」という新たな視点から、人材とお金の情報をシームレスにつなぐ架け橋となります。成長するスタートアップにおいて、限られた人的リソースを最適に配分し、真の価値創出につなげたいと考える経営者や経営企画、CFOの皆様がいらっしゃれば、ぜひ一度お話しさせていただきたいと思います。

ーー資金調達に悩んでいるスタートアップの方へ、伝えたいことはありますか?

エクイティ調達でバリュエーション(企業価値評価)を過剰に高めてしまった結果、最終的なExit戦略を描けなくなってしまっているスタートアップは少なくないと思います。過度に高い評価額で資金調達を重ねると、次のラウンドではさらに高いハードルが設定され、最終的に行き詰まるリスクがあります。

基本的には、可能な限り株式の希薄化を避けられるのであれば、創業者や既存株主にとってはその方が有利です。創業者の方々は自社の将来性を信じているからこそ起業したわけですから、その株式はできるだけ長く保持したいはずです。

そういった観点から、Flex Capitalのような株式が希薄化しないベンチャーデットをうまく活用することは、成長資金を確保しながらも株式の持ち分比率を維持できる非常に有効な選択肢だと思います。特に、一定の収益基盤が構築できている成長フェーズのスタートアップにとっては、成長資金の調達手段を多様化させることで、より戦略的な経営判断が可能になるのではないでしょうか。

ーー貴重なお話をありがとうございました!TimeCrowdの今後も応援しております!

 

 

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