TOP ご利用事例 エクイティの力を活かしつつ、収益力向上へ──単月黒字化を経て筋肉質な経営へ、TechBowlがFlex Capitalと描く「攻め」と「守り」の資金戦略

エクイティの力を活かしつつ、収益力向上へ──単月黒字化を経て筋肉質な経営へ、TechBowlがFlex Capitalと描く「攻め」と「守り」の資金戦略

株式会社TechBowl 様
エンジニア育成・採用支援プラットフォーム「TechTrain」を運営する株式会社TechBowl。シリーズA調達完了後、「プロダクト投資の次は筋肉質な経営体制を」との株主との対話をきっかけに、同社は徹底的にコスト構造を最適化。そのうえで、成長投資を止めないための資金戦略として、株式を出さずにスピーディに調達できるベンチャーデットを選択。創業7期目で単月黒字化を達成しました。
今回は、こうした資金調達における経営判断の背景やFlex Capitalを選んだ理由、そして導入後の変化について、株式会社TechBowl代表取締役の小澤さんにお伺いしました。

目次

黒字化を経て見直した資金調達戦略

プロダクトで価値を生み出す人材の循環をつくる

ーー まずTechBowlの事業内容と現在のフェーズについて教えてください。

TechBowlは「プロダクトで価値を生み出せる人材が集まるプラットフォーム」を目指し、エンジニア育成・採用支援・企業向け研修といった人材・教育関連事業を展開しています。私たちが目指しているのは、単なるスキル教育や人材紹介にとどまらず、「学ぶ・働く・支援する」が循環する仕組みを構築することです。

その中心にあるのが、当社の主力サービス「TechTrain」です。TechTrainは、CTOクラスの現役エンジニアがメンターとして若手層エンジニアや非IT人材を育成し、成長した人材が企業の採用や開発現場で即戦力として活躍する──という循環構造を持ったプラットフォームです。

受講者はオンライン上で実践的なカリキュラムを学びながら、メンターからのフィードバックを受けることができ、修了後は企業とのマッチング機会も得られます。学習の段階から企業との接点が設計されているため、従来の教育サービスよりも採用・育成・定着を一気通貫で支援できるのが特徴です。

現在は創業8期目を迎え、登録ユーザー数は13,000名を超えています。150名以上の現役CTOやエンジニアがメンターとして参画し、教材はすべて無料で公開しています。もともとは「個人向けプログラミングスクール」と「転職支援」が中心でしたが、利用者層の拡大とともに、企業向けの人材育成・技術支援(BtoB事業)へと事業領域を広げてきました。

具体的には、企業のDX推進におけるエンジニア研修、開発組織の内製化支援、技術顧問サービスなど、法人ニーズに応じたソリューション提供を強化しています。直近では、社内エンジニアのスキルアップや採用力強化を目的に、上場企業からスタートアップまで幅広い企業に導入が進んでいます。

現在の収益構造は、採用支援が約6割、研修・技術支援が約4割。採用領域での安定した需要をベースに、企業研修・技術顧問といったリカーリング型収益を拡大し、売上・利益ともに安定的な成長を継続。事業全体として、教育と雇用の双方に関わる「HR×Tech」領域で独自のポジションを築いており、人材の成長を軸に企業価値を支える仕組みを構築しています。

  • 小澤政生 | 株式会社TechBowl 代表取締役
  • 1986年生まれ。大阪府出身。京都大学経済学部経営学科を卒業後、2010年に株式会社サイバーエージェントに入社。営業を半年経験したのち、採用責任者を経験。その後2018年10月に株式会社TechBowlを設立。代表取締役に就任。

単月黒字化を経て、エクイティの力を活かして収益力向上へ

「プロダクト投資の次は筋肉質な経営体制を」という株主との対話を転機に

ーー 今までの資金調達の経緯と、Flex Capitalを利用された背景を教えてください。

立ち上げから数年間は、プロダクトの磨き込みや採用・マーケティングへの先行投資を重視する「成長速度を優先するフェーズ」であり、シリーズA調達まではエクイティ中心で資金調達をしてきました。

しかし、シリーズAを終えて次のラウンドを検討する段階で、既存株主から「プロダクト投資の次は筋肉質な経営体制を」と対話をしたことをきっかけに、私たちは改めて外部資本に依存しない経営体質を築く必要性を強く意識しました。

そこから、主要コストを一つひとつ見直し、ROI(投資対効果)の観点で事業構造を再設計しました。支出を抑えるだけでなく、「本当に事業の成長に直結する投資」に集中するように方針を切り替えたんです。その後、具体的な実行フェーズとして、販管費の最適化を進め、支出バランスの見直しを徹底しました。

このようにして黒字化を見据えた経営改善を進めていたちょうどその時期に、Flex Capitalと出会いました。当時、次のシリーズBラウンドを検討していましたが、株式による追加調達はどうしても希薄化を伴います。「まずは自力でキャッシュを生み出す体制を整えたい」という考えがあったため、エクイティではなくデットを活用する方向に舵を切りました。

Flex Capitalを選んだ理由

スピード感とスタートアップ理解が決め手

ーー Flex Capitalを選ばれた決め手は何でしたか?

決め手は、スピードとプロセスのシンプルさです。

必要な財務資料を提出してから、審査・契約・資金実行までの流れが非常に早く、私たちのような急成長を展望するスタートアップのスピード感に合っていました。

一般的な金融機関の場合、審査に一定の時間を要することも多いのですが、Flex Capitalはそれを最小限にしてくれる。「必要な時に、必要な資金を確保できる」という点は、成長フェーズの企業にとって大きな安心材料でした。

また、Flex Capitalは形式的な数値評価にとどまらず、事業フェーズや成長戦略の背景まで理解してくれる点が印象的でした。「今の利益」だけでなく、「これからどんな成長を描こうとしているか」という部分を丁寧に見てくれるのは、経営者として非常に心強かったですね。この“挑戦を理解してもらえる”感覚は、スタートアップとして非常にありがたいものでした。

担当の方も私たちの事業や課題を深く理解しようとしてくださり、柔軟に対応いただきました。数字だけでなく、「この資金をどう活かし、どう次の成長に繋げていくか」という点まで一緒に考えてくれる姿勢が印象的でした。

結果として、「融資を受ける相手」というよりも、中長期の事業成長を共に考えてくれるパートナーという感覚が近い印象です。スタートアップの挑戦を尊重し、経営視点で伴走してくれる点に、Flex Capitalならではの価値を感じています。

実行後の効果──スピードある成長投資へ

広告・展示会・採用強化に活用

ーー 実際に調達した資金はどのように活用されましたか?

今回の資金は、主に広告宣伝費、展示会への出展費用、そして採用活動に関わる人件費の一部に充てました。シリーズAで磨き上げたプロダクトを、より多くの企業に届けるフェーズにあり、マーケティング投資を一気に加速させたいと考えていました。中でも展示会への出展は大きな成果がありました。これまで接点のなかった業界の企業とも直接対話できる機会が増え、TechTrainの提供価値を直接伝えることができました。そこから新たなリードが生まれ、法人向け採用支援や研修の新規案件の増加につながっています。

また、広告投資についても短期的な反応にとどまらず、中長期のブランド認知や企業との関係構築にも効果がありました。結果として、新規リード数が前年同期比で大幅に増加し、BtoB事業の成長ドライバーを強化することができました。

Flex Capitalの資金を活用することで、成長投資のスピードを落とすことなく事業を進められる。この取り組みが功を奏し、2025年9月に単月黒字化を達成。「借入による成長投資」と「コストの最適化」を両輪で進めたことで、資金繰りに余裕を持ちながら、事業を自走可能な次のフェーズに進めることができました。

デットを選んだ理由と社内の反応

エクイティの良さを活かしつつも、フェーズに合った資金手段を

ーー エクイティではなくデットを選んだ理由を教えてください。

資金調達の方法は、会社のフェーズによって最適な形が変わると思っています。これまではエクイティ中心で資金を調達してきましたが、今回は株式を希薄化させずに資金を確保できるデットファイナンスの成否という点が大きなポイントでした。

Flex Capitalのベンチャーデットは、スピード感があり、事業フェーズに合わせて柔軟に設計できるのが特徴です。

「調達そのものに時間を取られず、事業に集中できる」というのは、スタートアップにとって非常に助かる部分でした。

社内・株主ともにスムーズな意思決定

ーー 社内や株主との意思決定はスムーズでしたか?

はい。株主にも早い段階で共有し、資金調達の目的や使途を明確に伝えていたこともありましたので、スムーズに進みました。

株主比率が変わらない分、エクイティ調達に比べて意思決定のスピードは早かったと思います。デットという選択肢に対しても、会社のフェーズに合った判断として理解してもらえました。

融資スキームの拡張と企業間連携に期待

ーー 今後、Flex Capitalに期待することがあれば教えてください。

今後は、企業のフェーズや資金使途に応じて、もう少しスキームのバリエーションが増えていくとさらに使いやすくなると思います。また、Flex Capitalを利用している企業同士のつながりが生まれるような仕組みにも期待しています。他のスタートアップの事例や取り組みを知ることで、新しい協業のきっかけにもなるはずです。

Flex Capitalは、単に資金を提供するだけでなく、スタートアップが次のステージに進むためのきっかけをつくってくれる存在だと感じています。

今後の展望──人を中心にした成長を支える

ーー 今後の事業展望について教えてください。

TechBowlの中心にあるのは、やはり「人」です。エンジニア、企業、メンター、それぞれが成長しながら価値を生み出していく仕組みを、これからも大切にしていきたいと思っています。

今後は、これまでの採用支援・技術支援・企業研修といった既存の3つの軸をさらに強化し、より多くの企業にTechTrainの価値を届けていくことを目指しています。特に法人向けの展開では、企業ごとの課題に合わせて研修内容や支援体制を柔軟に設計できるよう取り組んでいます。

また、AIや自動化など新しい技術の進化に合わせて、エンジニアのスキルや働き方も変化しています。こうした変化に対応できる学びの環境を整えることで、エンジニアが継続的に成長できる仕組みを提供していきたいと考えています。

私たちの目標は、単にスキルを教えることではなく、企業とエンジニアが互いに成長できる関係をつくることです。そのため、「エンジニアリング組織の立ち上げや内製化・採用に課題を感じている企業の方や、開発リソースが足りないスタートアップ企業の方は、ぜひ一度ご相談いただきたい」と思っています。

私たちが持つ知見やメンターのネットワークを活かし、課題の整理から具体的な支援まで伴走できる体制を整えています。

Flex Capitalのように、事業フェーズに合わせて支援してくれるパートナーの存在は、今後の展開においても心強いです。これからも、自社の成長とともに、関わる人や企業が前向きにチャレンジできる環境を広げていきたいと思っています。

ーー 貴重なお話しをいただき、誠にありがとうございました。

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