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「ランウェイを確保することで本質的な仮説検証をしっかりやりきることができる」株式会社クアンド

株式会社クアンド 様

目次

クアンド株式会社について

「地域産業・レガシー産業をアップデートする」をビジョンにかかげ、建設/製造/メンテナンスなどあらゆる現場において移動時間ゼロで現場調査や検査ができるビデオ通話ツール「SynQ Remote(シンクリモート)」を提供する株式会社クアンド。(以下、クアンド)

 クアンドは、2017年に福岡にて設立され、2022年にJ−Startup KYUSHU、2023年にJ-Startupに選ばれ、日本が直面する「労働力不足」の課題に向き合っています。日本は、仕事が減らずに増える一方、労働力が減少し2040年には1,100万人の労働力不足が起きると言われています。特に建設業では品質や納期は厳しく求められ、限られた人数でより多くの仕事を品質を落とさずに回していく必要があり、この課題は年々深刻になっていきます。

その課題に対して、現場調査や検査ができるビデオ通話ツール「SynQ Remote(シンクリモート)」を開発し、課題の解決を行っています。「SynQ Remote(シンクリモート)」は、建設の現場で複雑に機材や資材が置かれている中、画面を映しその場所をポインタで指定して指示を行うことができたり、後ろで大きな音が鳴る中で文字起こしによってコミュニケーションをすることができる、回線が不安定な中でも繋がる設計など、現場業務に特化した機能を有しています。

建設業では竹中工務店・大東建託、製造業では安川電機・カワサキロボットサービス(川崎重工業グループ)、鉄道では東京メトロ・JR九州コンサルタンツ、行政では福岡県北九州市、宮崎県都城市など、さまざまな事業者に利用されています。(敬称略)

今回は、クアンドのCFO佐伯さんに「デット調達の背景とは?」「なぜFlex Capitalを利用しようと思ったのか?」についてインタビューしました。

  • 株式会社クアンド 取締役CFO
    佐伯 拓磨
    熊本県出身。西南学院大学卒業後、肥後銀行に新卒入社し、法人融資を経験。その後、投資ファンド運営・各種コンサルティング業務を行う株式会社ドーガンにてファンドマネージャー・社長室長として投資ファンドの組成、運用、投資先の経営支援、経営企画業務を経験し、2019年に株式会社クアンド取締役CFOとして参画。
    キックボクシング、マラソン、サウナなどが趣味。

シードラウンドを終えランウェイは確保できていたが、集められる時に集めておく事を考えた

-当社をはじめとしたノンバンク系のデット調達手段を知ったきっかけは何だったのでしょうか?

佐伯さん:
情報収集をしている中で、近年ノンバンク系のベンチャーデット含め話題になっているのは把握していました。御社で言えば、知り合いのコーポレート部門で働いている方の紹介で、イベント会場にてご挨拶したのがきっかけです。

-今回デット調達をされようと思った背景や狙いについて教えてください。ご相談いただいた時点ではランウェイは大きく確保されており、緊急の状況ではなかったとお聞きしております。

佐伯さん:
おっしゃる通り、緊急性は高くありませんでした。当時はシードラウンドのエクイティが終わったタイミングでランウェイが確保されていましたが、その後は赤字によって与信が削られることが想定できました。融資を集められる時に集めたいと考えました。

-集められるときに集めておきたいと思った背景やファイナンスの方針などはあったのでしょうか?

佐伯さん:
私が銀行、ファンド出身であったこともあり、ファイナンスに関してはなるべく株式の希薄化を避けたいという思いがありました。そのため、創業当時からなるべくエクイティ、デット両方を最大限活用して行こうという思想がありました。
皆さんも言われていることかとは思いますが、融資を活用して希薄化を避けながらしっかりと企業価値を高めた上で、エクイティ調達をする。そうすることで少ない希薄化で調達できると思うのでそのように進めたいと考えていました。
デット調達に初期から動いたのは、早め早めにデットのプレイヤーを巻き込みたいという思いも背景にあったからです。新規の取引は既存の継続取引に比べてハードルが高いという側面があると思います。初期から信頼関係を築くことで適切なタイミングでしっかりと支援していただけるような体制を作りたいという思いもありました。

小型の調達での株式希薄化は避けワラント付きではないピュアデットを選択

-実際の検討ではほかの大手金融機関様からの融資についても検討されたかと思います。他にどのような選択肢を検討されたか、教えてください。

佐伯さん:
既存の金融機関とも検討は行っていました。しかし、既存の金融機関からの感触はあまり良くなかったです。新株予約権付(ワラント)の融資もご紹介いただきましたが、弊社はピュアデットを希望しており、少しニーズがずれているなと感じました。

-新株予約権付のデットがニーズから外れているのは希薄化の関係でしょうか?

佐伯さん:
おっしゃる通りです。大型のラウンドではなく、小型の調達で希薄化するのは避けたいという思いがありました。
ワラント付きではないところで、どこまでの資金を融資いただけるかチャレンジをしたいという思いで動いていました。

ランウェイを確保することでPMFの本質的な仮説検証をしっかりやりきることができる

-ありがとうございます。貴社のデット活用の考え方など、非常に参考になる部分が多くありました。実際に調達をされた資金はどのようにご活用されているのでしょうか?

佐伯さん:
当社はソフトウェアのBtoB企業ですので、基本的には人件費の支払いなどに充てています。
アーリーフェーズ・シリーズA前後は企業としての不確実性が高い時期だと思います。ここでPMF(プロダクトマーケットフィット)できるかどうかで成否が決まるといっても過言ではありません。プロダクトがお客様に刺さっていることを確認し、市場から需要がある状態を確認した上でシリーズAを行い成長を加速させる必要があります。このフェーズの仮説検証は「やってみないとわからない」と言う性質もあり、エクイティファイナンスで調達したお金だけで検証を完了させることは難易度が高いのではないか、と考えています。そのため、エクイティに加えて、融資によって資金を調達しておくということが重要になると思います。
ランウェイが確保されていることによって、焦らず仮説検証ができるので、本質的な仮説検証をしっかりやりきることができました。
おかげさまで事業成長し始めているので、ここからはどこまで資金調達のタイミングまでに伸ばせるかという状況です。

-お話を聞くとシリーズAの前にキャッシュをどれだけ確保できているかというのは事業の成否にも大きく関わってくることが改めて実感できました。
昨年、FlexCapitalのベンチャーデットをご利用いただきましたが、利用してみてのご感想を教えてください。

佐伯さん:
融資検討のスピード感が印象に残っています。
Flex Capitalとのやりとりを時系列で見てみたのですが、資料を提出して審査結果の提示まで1週間と、明らかに他社との違いを感じました。紹介の挨拶から2か月後には着金しており、とにかく早いという点が印象に残っています。
また、面談の時間が短いという点も印象に残りました。これはビジネスモデルやファイナンスの条件への理解が非常に早いからこそ可能なことであり、御社の強みだと思っています。
既存の金融機関とのやり取りだと、先方の決裁プロセスもあり長くなってしまうことが多いですし、やりとりを重ねたうえでも財務コベナンツをつけるといった条件が追加される場合があるので、様々な部分のスピードに違いを感じました。

-ありがとうございます。審査のスピードという点については当社も強みとしているので、大変ありがたいです。

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シード期のCFO採用について

-もう一つ、余談なのですが、シリーズAを迎える前のタイミングで佐伯様のような財務に明るいCFOがジョインされているというのは、経営者にとってとても心強いと思うのですが、どういった出会いだったのですか?

佐伯さん:
クアンドが創業したのが2017年4月で、入社することを決めたのが2019年の1月でした。ジョイン前から創業融資獲得に向けて一緒に手伝ったりしていました。
私が前職でファンド事業をやっており、ファンド単体では難しいテクノロジーなどの打ち手を外部と協力して進めようとしているなか、当社CEO下岡がファンドで勉強会を開催してくれたのが出会いでした。
既存のやり方では企業支援に限界があると感じていた中で、テクノロジーを使えば大胆な変革を起こすことができると感じたことと、下岡は地域産業・レガシー産業のアップデートを掲げており、同じ思いでやっていることも感じ、一緒にやっていきたいと思いました。
戦略や事業を中心に担当する下岡と当時いたCTOに加えて、コーポレートやファイナンスを見ることができる自分が入ることで社会にインパクトを与えるチームになれると感じたことも理由の一つです。

-CFO採用という観点ではなにかアドバイスございますか?

佐伯さん:
スタートアップのコミュニティだけにいると、ファイナンスをバックグランドとしたメンバーに出会うのは難しくなります。今IPO手前で活躍されているCFOの方も銀行、ファンド出身です。銀行やファンドの運営するイベントなどに参加し交流していくことも、大事だと思います。

これからのクアンドについて

-最後にクアンドとしての事業の展望を教えてください

佐伯さん:
いま遠隔支援のツールをやっているのですが、遠隔支援にとどまらず事業を展開していきたいと考えています。今後はデータのナレッジが溜まり、技術者や管理者のノウハウを活かしながら、リモート業務派遣や人材マッチングなどにもつなげていくことを考えています。
労働力を確保していることが重要だと考えるので、M&Aなども含めて事業シナジーを産んでいける体制づくりを検討しています。
まずは、「SynQ Remote(シンクリモート)」のPMFの確信をもってGoToMarketに行き事業成長をさせることに加えて、プラスアルファの事業の芽をつくり、強いエクイティストーリーを作って、計画では2025年初めからシリーズA調達を迎えていきたいと考えています。
そのためにも、しっかり手元の資金を大事に活用しながら事業運営をしていきたいと考えています。

-採用の部分までお話を聞かせていただいて、大変参考になりました。ありがとうございます!

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