TOP 導入事例 「リードタイムに数ヶ月余裕ができ、NTTドコモとの協業・業務提携を開始」株式会社チカク

「リードタイムに数ヶ月余裕ができ、NTTドコモとの協業・業務提携を開始」株式会社チカク

株式会社チカク 様

目次

株式会社チカクについて

株式会社チカクは、「距離も時間も超えて大切な人を 近く・知覚 できる世界を創る」をミッションに、“シニア・ファースト”を掲げるエイジテック(高齢者向けテクノロジー)スタートアップです。

スマートフォンアプリで撮影した動画や写真を実家のテレビに直接送信し、インターネット環境やスマートフォンがない高齢者世代でもテレビで視聴できる「まごチャンネル」を開発・販売しています。

また、NTTドコモ(以下、ドコモ)との協業で、離れて暮らす親の在室状況をスマートフォンアプリから確認でき、そのまま手軽にテレビ電話で話すことができる“デジタル近居”サービス「ちかく」を開発。2024年5月より全国のドコモショップで販売中です。

  • 株式会社チカク 代表取締役
    梶原 健司
    アップルジャパンに新卒で入社。以後12年にわたって、ビジネスプランニング、新規事業立ち上げおよびiPodビジネスの責任者などを経て、独立。2014年にチカクを創業。

-創業のきっかけを教えてください。

梶原さん:
創業の背景は大きく2つあります。1つ目は個人的なもので、私の生まれは淡路島なのですが、子どもの頃はおじいちゃん、おばあちゃんを含めた3世帯で暮らしていました。
大学進学以降はずっと東京で暮らしており、子どもが生まれても自分の幼少期のように祖父母と同居しているわけではないので、両親に孫の顔を年数回しか見せることができないことを何とかしたいと感じていました。「もっと頻繁に会わせてあげられるような体験を作りたい」と私自身が感じていたことが創業の理由です。

もう一つは社会的な背景です。日本は世界のなかでもっとも高齢化が進んでいる国で、高齢者のみの世帯が1500万世帯を超え、全体の3割以上になりました。3世帯の家庭がほとんどなく、1人暮らし高齢者の方の孤独死などのいろいろな問題が起きています。
そこで、高齢者と離れて暮らす家族をつなげていくサービスはできないかと考えました。

-そういった創業の背景だったのですね!

梶原さん:
チカクは「距離も時間も超えて大切な人を近く・知覚できる世界を創る」をミッションとし、創業から「まごチャンネル」というサービスを展開しています。家の形をした端末で、ITが苦手な高齢者でも自宅のテレビで孫の動画や写真を見られるサービスです。
満足度は高く、Amazonのレビューでも星4.5の評価をいただき、高齢者を第一に考えたサービス設計として「シニア・ファースト」であることを意識しています。
世の中の、特にインターネットを使ったサービスは、インターネットを使えるリテラシーが前提のサービスになっていると思います。高齢者だけの世帯ではインターネット環境がないということもごく普通で、そういった方でも特別な設定や準備が不要で、かつ使い慣れたテレビをそのまま使えるような体験にするなど工夫しています。

低いチャーンレートを活かしたファイナンスを検討

-今回の資金調達の内容についてお伺いできればと思います。RBF(レベニューベースドファイナンス)はご存知でしたか?

梶原さん:
RBFという単語は知らなかったですね。アメリカでリカーリングレベニュー(継続的な売上が発生する仕組み。サブスクリプションやSaaSなど)のビジネスが伸びてきているなかで、そこを対象にしたファイナンスがあるというニュースを聞いた程度でした。

ビジネスの状況は解約率がとても低く、将来の売上が確度高く予測できていたので将来性を担保にしたファイナンスを検討していました。解約率は低いのですが、B to Bのビジネスに比べれば月額単価も高くないので、宣伝費などの顧客獲得コストがペイバック(継続売上の合計が獲得コストを超えること)する時間がかかっており、自前のキャッシュフローでは間に合わない状況でした。

その時、たまたま弊社の株主から紹介をいただいて、お話を聞いてみようと考えました。

-事業のお客様の満足度はとても高い状態でのご相談だったのですね。タイミングとしてはどんな事業タイミングだったのでしょうか?

梶原さん:
当時、ドコモさんとの協業を取りまとめる議論をしていた時期で、事業拡大に向けた準備期間として、資金基盤を強化したいと考えていました。
非常に大きな取り組みであったため、取りまとめに時間が伸びてしまう可能性がありました。先程もお話しましたが月次のチャーンレートは1%未満と非常に低く推移しており、この事業の特性を活かしてRBFの活用を検討していました。

-なるほど!大きな提携の前の準備のタイミングだったのですね。他に調達の選択肢は検討されていましたか?

梶原さん:
製造の拡大に伴う一時的な資金需要に対応するため、迅速な資金調達の選択肢を幅広く検討しました。最終的に条件面でFlex Capitalさんを利用させていただきました。

-良いご提案ができて良かったです!

リードタイムに数ヶ月余裕ができ、協業・業務提携を開始

-23年9月にご支援をさせていただきました。ご支援後の事業の状況はいかがでしたでしょうか?

梶原さん:
事業提携までのリードタイムに数ヶ月余裕ができたので、しっかりと契約をまとめることができ、無事にドコモさんとの事業提携に至りました。
24年3月にプロダクトを発表し、現在の協業に至っています。

-その後、24年4月にも追加のご相談をいただきました。どういったニーズでしたか?

梶原さん:
事業提携後のプロダクトの大型製造のコストのご相談でした。ファーストロットは準備できていたのですが、その後の反響次第では、すぐにセカンドロットの大型発注が必要な状況で、製造コストの調達にまわっていました。
1回の発注で億単位の費用がかかり、製造委託先への複数回の入金が必要でした。銀行とつなぎ融資についても、ある程度まとまってはいたのですが、何回かの分割の支払いと入金のなかで、どうしてもキャッシュが薄くなるタイミングがあることがわかり、素早くその手当ができないかということで相談をいたしました。
結果、その問題が解決できそうだったので、利用には至りませんでした。

-大型のプロジェクトで銀行との連携がとれている中でも緊急の手当が必要なタイミングがあるのですね。緊急の相談や、条件の確認でも対応をしているのでご連絡をいただけて良かったです。

資料の提出も簡単で、銀行と比べてもかなり早かった

-ご利用の体験の感想はいかがでしたか?

梶原さん:
スピード感があって良かったです。提案も2週間もないぐらいで結果がでたと記憶しています。金額も希望金額に近く、ありがたかったです。
事業全体をどう運営していくかが重要なので、ファイナンスそのものだけにあまり時間をかけたくないものです。資料の提出も簡単で、銀行は1~2ヶ月どうしてもかかるもので、それにくらべてかなり早かったです。

-スピードのご評価をいただけて嬉しいです!なにかさらにこうなると嬉しいというようなご要望はございますか?

梶原さん:
RBFの手数料をケアできる仕組みがあると嬉しいですね。もし資金調達が他でもうまくいったとき、早期に返済することで、最初にかかった手数料をケアできるものがあると嬉しいです。事業状況への柔軟な対応があるとありがたいです。

-ありがとうございます!実際の事例では、契約当初から弊社の提案よりも短期契約にしていただくことで手数料率を調整するというケースもありました。どうしても事前の契約時にお決めいただくことが必要なのですが。

梶原さん:
そういう形もあるんですね。もちろん次の調達の目当てに確信がもてれば、その選択もできるかもしれません。そういったオプションがあると良いですね。

-また、弊社でもRBF・ベンチャーデットの枠組みだけにこだわらず、「枠」的な金融サービスの拡充も検討していて、より使いやすい形を模索しています。

梶原さん:
そういうものがあるんですね。必要なタイミングで使いたい分だけ使えるようなものがあると良いですね。緊急の資金繰りでいうとクラウド費用などの一括支払いなど大きな出費のときに使えると良いと思います。

-ありがとうございます。商品開発が進んだ際にはご提案させてください!

梶原さん:
いろいろ要望しましたが、本当にスピード感があると思いますし、ありがたいサービスだと思います。金額の上限値が増えていくと嬉しいですね。

私達のビジネスはチャーンが低く、売上の見込みが立ちやすいです。現状のKPIでいうと、LTV/CAC > 3 を継続的に保てていますが、ペイバックに年単位の時間が掛かるため、顧客獲得のコストはかならず回収できるが、回収までの時間が長いというモデルです。
この回収見込みの資金をエクイティファイナンスで調達する必要があるのか?と感じます。エクイティはリスクマネー、回転する運転資金はデットで調達していくべきだと考えるので、長いLTVを見て長期のエコノミクスでデットを判断してくれる先がうまれてくるとよいなと感じます。

弊社としても審査モデルのアップデートを続けて、LTVが大きいがペイバックが長い企業の評価など検討していきたいと思います。

これからのチカクについて

-最後に、今後の事業展望について教えてください。

梶原さん:
このたび発売した新サービス「ちかく」は、カメラやマイクが内蔵されており、どんな高齢者の方でも簡単に自宅のテレビをスマートテレビ化できるデジタルサービスにしていこうと考えています。
高齢者の見守りの文脈から始めますが、ゆくゆくは医療・介護の領域にも使えるプラットフォームの構想をもって動いています。
今後の生成AIの活用も含めて、日本の課題が進んでいくなかで、ご家族や高齢者の方のQOLを高められることを目指しています。
一緒に取り組める方や企業がいらっしゃいましたら、ぜひ一緒に取り組んでいければと思いますので是非お声がけください。

-素晴らしいビジョンの事業をご支援できて嬉しく思います!本日はありがとうございました。

Grow With Us

30分の無料相談

その他のお問い合わせもこちらからお願いします