TOP 導入事例 「未来の売上予測で判断してもらえるRBFを活用。短期間で2回の支援を頂けた」株式会社ベンナーズ

「未来の売上予測で判断してもらえるRBFを活用。短期間で2回の支援を頂けた」株式会社ベンナーズ

株式会社ベンナーズ 様

目次

株式会社ベンナーズについて

「日本の食と漁業を守る」をビジョンに、「水産業界に関わる、全ての人を豊かにする」をミッションに掲げ、魚の売買を効率化するサービス「Marinity(マリニティ)」の運営及び、未利用魚を用いた加工品のサブスクサービス「Fishlle(フィシュル)」を提供する水産ベンチャーの株式会社ベンナーズ。(以下、ベンナーズ)

2018年に創業した福岡を本社とした水産系のスタートアップで、もともとはBtoBで全国の漁港と飲食店をつなげるプラットフォームで創業されました。コロナをきっかけに未利用魚を活用したtoC向けの冷凍水産加工品の製造販売のサービスを始め、いまはそれがメインの事業になっています。

水揚げされたものの、「傷がある」「サイズが小さい」「量が少なくロットがまとまらない」などの問題で市場に流通しない、「未利用魚」にベンナーズが着目し、展開しているサービスが「Fishlle!(フィシュル)」です。
廃棄されることが多い未利用魚を漁師から直接仕入れ、その日のうちに自社工場で加工し、ミールパックの状態で販売する。そうすることで、生産者、消費者、そして環境の「三方良し」の実現を目指しています。

D2Cでは、仕入や広告が先行するビジネスモデルとなっており、「必要な資金をいかに確保するか?」が重要なテーマとなっています。今回はベンナーズの井口さんに、「資金調達の背景とは?」「なぜFlex Capitalを利用しようと思ったのか?」をお聞きしました。

  • 株式会社ベンナーズ 代表取締役CEO
    井口 剛志
    長崎県長崎市出身、福岡育ち。米ボストン大学でアントレプレナーシップ(起業家・企業家精神)と経営学を学ぶ。2018年4月にベンナーズを創業。「日本の食と漁業を守る」を経営理念に掲げ、ビジネスを展開する。

TV取材を受け、予約が2ヶ月待ちという状況

-Flex CapitalやRBFのことを知ったきっかけについて教えていただけますか?RBFはどのように知りましたか?

井口さん:
ちょうど資金調達をしているタイミングで、エクイティで調達する前に、実績を作りたいと考えていました。しかし、サブスク型のビジネスを伸ばそうとすると、先に仕入れや広告宣伝費が発生して投資が必要なビジネスモデルなので、なかなか従来の金融機関・銀行だと理解が難しい部分ががありました。一方将来のレベニューは読みやすいビジネスモデルなので、それを活かした資金調達方法であるRBFがあると知って活用を検討しました。
RBFを提供されている事業者をリサーチして、Flex Capitalにたどり着きました。
RBFの仕組みについては、投資家の方からの紹介で知りました。

-23年の3月にお問合せをいただきましたが、どのような事業のタイミングだったのでしょう?

井口さん:
当時はちょうどフィシュルが軌道に乗り始めたタイミングで、さらなる成長のためによりお金が必要となるタイミングでした。

-当時の面談内容を見返すと「事業内容を半年早く達成して、TVの取材もあり在庫がかなり少なくなっていた」ということが残っていました。取材の影響はやはりすごかったのでしょうか??

井口さん:
先に受注が取れたのは良いものの在庫がなく、OEM先に製造を依頼するには現金が必要と、嬉しいがまずいという状況でした。(笑)
いわゆるメガメディアは何度か取材していただいたのですが、取材が2週間前に決まり、取材の翌日に放映がされるなど、なかなか読みづらい部分があります。とはいえ、そういったチャンスは逃したくはないので、2ヶ月待ちなどの緊急措置で対応しました。
一回の放映で、会員数が3倍になるなど、メガメディアの影響の大きさを感じました。
お客様からお金をいただくのも、商品を発送してからになるので、どうしても資金が必要になっていました。

-事業計画や資金繰りなどの計画を立てていても、そこまでのインパクトがあるものを計画に織り込むのはとても難しそうですね。

井口さん:
そうですね。ラッキーだと思っておいて、緊急で対応をしていくということが必要でした。

過去の実績だけでなく、未来の売上予測を見て判断してもらえるRBFを活用

-そんな中で、2度のメディア放映後に1回目のご支援をさせていただきましたが、どのような利用体験でしたでしょうか?

井口さん:
めちゃめちゃ早く対応いただけたというイメージです。こんなに早く着金されるとは思っていませんでした。その資金がすぐ在庫にかわり事業を動かすことができました。
2ヶ月待ちだった状況も、約2ヶ月程度ですべて解消することができました。

-それは私たちも大変嬉しく思います。D2CやSaaS企業の、「未来のサブスクリプション売上」は将来予測に役立つ指標になるものの、未発送の売上は計上できないなど、PL(損益計算書)にもBS(貸借対照表)にも乗らないため、既存の金融機関での審査が受けづらいというお声をお聞きします。

井口さん:
そうですね。やはり過去の実績からしか見ていただけないことが多いので、未来売上の見込みをお伝えしてもなかなか響かず審査が難しい場合があります。
今回のように、注文が発生し売上の見込みはたっている、そのために仕入れ・製造の資金が必要、しかしその製造した商品を発生しないと売上がたっていると見なしてもらえないというなかで資金をしてもらえて、助かりました。

事業の成長をキャッチアップし、8ヶ月後に追加のベンチャーデット支援

-その後、23年11月に2回目の相談をいただきました。どういったタイミングの状況だったのでしょうか?

井口さん:
当時は、エクイティでの資金調達を行うか検討していたタイミングで、プレシリーズAのラウンドの交渉中だったのですが、どうしてもバリュエーションが目指しているところと乖離がありました。
希望しているバリュエーションで資金調達を行うには、さらに事業成長させる必要があり、それにはもう少し資金が必要というタイミングでした。
バリュエーションを妥協してエクイティ調達を今のタイミングで行うか、希望しているバリュエーションまで借り入れなどを行って事業を成長させてからエクイティ調達を行うか、ちょうど迷っている状況でした。
その中で、自分たちは後者が良いと思っていました。株式は一度手放すと戻ってこないので、コストはそちらのほうが安いと考えました。
とはいえ、まだ事業としては赤字のタイミングで、金融機関からの借り入れは難しいなかでのお声かけで、とても良いタイミングでした。

-1回目の支援期間中でしたが、貴社の事業成長を見させていただいたことで、初回のRBFから8ヶ月後にベンチャーデットという形で追加の提案をさせていただき、金額・金利もより良い条件で提案することができました。

井口さん:
大満足でした。もう一度RBFになるのかなと思っていましたが、ベンチャーデットの提案をもらえたことも嬉しかったですし、金額の増額も金利の低下もすごくありがたかったです。

-2回目の支援をさせていただいてから約半年経過し、エクイティの交渉も再開されている状況でしょうか?

井口さん:
はい、ちょうど周り始めたタイミングです。半年前よりは確実にバリュエーションの上昇は感じるものの、調達環境がよくないこともありまだ完全に満足しているしているわけではない状況です。
さらにもう一度デットを活用してタイミングを延長できるのかどうかも考えています。

デットの資金は、エクイティのつなぎとして考えるだけでなく、同じぐらい重要な成長の資金

-エクイティとデットの使い分けについて、もう少し詳しくご意見伺いたいです。

井口さん:
調達や事業のステージが上がるにつれて、エクイティは後戻りができない状況になっていきます。
株主の選定も考える必要があるし、バリュエーションも慎重に考える必要があります。
私達はもう2回くらいはEXIT前にエクイティファイナンスが必要だと想定しています。
そういった中で、より慎重に考える必要があるからこそ、デットの資金は、エクイティのつなぎとして考えるだけでなく、同じぐらい重要な成長の資金として考えるべきだと思っています。

-Flex Capitalにお問合せいただく企業は、シードやアーリーステージのスタートアップ企業も多く、いまからRBFやベンチャーデットを活用しようという方も多いのですが、「ラウンドが進むと後戻りができない」という点はすごく学びが深いと感じました。未来のラウンドの想定について、さらに詳しくお伺いしたいです。

井口さん:
資金が必要だから、その資金がないと事業が続かないからエクイティ調達するというのは、ちょっと違うかなと考えています。
今後の成長のために、どの株主からどれくらい調達するかを考える必要がある。そのためにデットを活用して猶予を持って臨むことが必要だと考えています。

-この2年間、調達環境の悪化やグロース市場の相対的な低迷が言われるなかで、エクイティファイナンスに対する日本のスタートアップのリテラシーもどんどん高まってきているように感じます。今後の起業家やCFOの方にむけてのメッセージがあればいただきたいです。

井口さん:
それでいうと、今後エクイティは2回調達を行うと先ほど言いましたが、デットの活用も行っていくと考えていて、少額の取引でもデットファイナンスを支援してもらえる先と、少し長い目線で関係性を築いていくことが必要だと思っています。
「とりあえず借りよう」というのは必要ないと思いますが、貸していただけるとこがあった時に、長い関係性をつくっていく視点でお付き合いをしていくことが重要だと思います。
ですので、Flex Capitalとも長いお付き合いをしていきたいと考えていますし、他の金融機関とも関係性を作っていきたいと考えています。

-すごく勉強になります。どういったタイミングでファイナンスの知識を身に着けていかれましたか?

井口さん:
周りの経営者や日々情報収集をしながらですね。大学でも起業学は学んでいて、ピッチをして投資家のアテンションを引くなどの形は学んでいたのですが、実際にやりながら学んでいた部分が大きいです。

-先輩経営者に教えてもらったとお伺いしましたが、福岡にも起業家のコミュニティはあったのですか?

井口さん:
福岡のスタートアップ支援施設である「Fukuoka Growth Next」に入居していたんです。そこでイベントやミートアップが主催され、起業家のコミュニティに参加できていたので、つながりができました。

-それは素晴らしい環境ですね!

ベンナーズのこれからについて

-それでは最後に、今後のベンナーズ様の展望を教えてください。

井口さん:
現在、シリーズAラウンドをまわっているところです。今後も継続的にフィシュルを成長させていき、また新規事業の開発も検討しています。魚の需要をつくりだしていく総合カンパニーとして、水産業界をリードしていく存在になっていきたいです。
そのためのマイルストンがIPOだと考えているので、この4年のマイルストンにむけて、ビジョンに共感してくださる投資家の方や一緒に働きたい方に声をかけてくださったら嬉しいなと思っています。
エリア展開に関しても考えていて、すでに福岡県外の漁港でも生産しており、全国10箇所の産地で水揚げされた魚を活用しています。お客様も北は北海道から、南は沖縄まで広がっているので、福岡だけでなく全国の水産業界に活動を広げていきたいと考えています。

-素晴らしいビジョンを聞かせていただきました。ベンナーズ様のさらなる発展を祈っております。インタビューありがとうございました!

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